激増する過剰流動性がバブルとインフレを再び引き起こす。
過剰流動性が積みあがっている。
昨年9月15日のリーマンショック以降、
世界中の中央銀行が相次いで利下げに踏み切った。
日米欧の3主要中銀は金利を歴史的低水準に引き下げ
火消しに躍起になっている。
一方で各国の産業は一向に回復を見せず、
流動性確保は景気を浮上させるほどの爆発力には至っていない。
産業の不振は企業の淘汰を進める。
企業間で不信の輪が広がると、
事業の拡大よりも貸し倒れリスクの懸念が大きくなり、
信用創造ができなくなる。
これにより経済の血流である金融が目詰まりを起こし
結果的に破綻企業が増えるという悪循環を招く。
これは一企業の行動としては合理的だが、
経済全体としては不合理となる「合成の誤謬」という現象である。
同じ状況は労働と消費の構造にも当てはまる。
企業は賃金や雇用を抑制して生き残りを図るが、
結果的にそれが労働者=消費者への分配も減らし、
ひいては消費意欲減衰によって、自社の売上も落ちるという構図だ。
これも労働と消費の「合成の誤謬」である。
つまるところ中央銀行や政府が目したような
流動性の供給は一時的な連鎖破綻回避と恐慌回避には役立ったが
景気浮揚するほどの信用創造は生み出していないということになる。
マネタリーベースの増加がマネーサプライの
上昇につながっていないということは
信用乗数が激減しているということになる。
果たして激増したマネタリーベースはどこに行くのか?
それはインフレとバブルの再来である。
物価は本来、需要と供給のバランスで決まる。
しかし一度信用創造が回復した世界では
過剰流動性が行き場を失い、相場を支配する。
2003年からの景気拡大局面では、
溢れ出した過剰流動性が
米国の金融技術に隠れて猛威をふるい、
世界中に投資マネーの正循環をばら撒いた。
原油を始めとした商品相場
それが中東諸国とロシアの発展を覚醒させた。
旺盛な資源開発需要に支えられ、オールドエコノミーが
趨勢を取り戻した。
オールドエコノミーの下請けである中国などの新興国は
この特需によって目を覚ました。
需要の増大が世界全域に押し寄せ、
食料不足が深刻になったように見えた。
商品相場の上昇にあてこみ、
資本は商品市場に雪崩を打って押し寄せた。
それがバブルへと帰結した。
高まる商品需要、高まる資源開発、
オールドエコノミーは息を吹き返し、
世界全体の需給ギャップが改善して景気が上向いた。
それと同じ事が再度繰り返されようとしている。
生き馬の目を抜く栄枯盛衰の激しいヘッジファンドは
世界中で組成されている。
羹に懲りて膾を吹くのは一部の人だけ。
過剰供給されたマネーは行き場を失い、
リスクを取って猛獣のように駆け巡る。
何が狙い撃ちされるかわからない。
おそらく2011年、インフレとバブルは再スタートする。
