ネットブックに群がる企業:富士通・シャープは自壊の道を進むのか?

Posted on 2009-4-23 by admin under Asia, Economics, IT, International, Japan, enterprize, marketing.

5万円前後のミニノートをネットブックという。
台湾のマザーボード最大手のASUSが1昨年に市場を切り開き、
世界中で爆発的に売れた。

ここに来て、昨年にはNEC、東芝が参入、
さらにソニーはやや独自性のある内容で高めのラインナップで参入、
そしてこの夏の製品から、シャープと富士通が参入した。

中小のメーカーであるエプソン、オンキヨー、マウスなどは
すでにこの市場に参入しており、
シャープと富士通は、最も遅い組である。

元来、ノートPCの現代の市場を見事に開拓したのはソニーであった。
それまでの無骨なデザインに決別し、マグネシウム合金を使った
スタイリッシュで軽量のノートPCをVaioという名でリリースし、
「持ち歩きたくなるノートPC」ということで一世を風靡した。

しかしその後、ノートPCにパラダイムシフトは訪れず、
インテルとマイクロソフトが策定する規格に準じて
ひたすら高機能・高付加価値の製品開発をたどることとなった。

その背景にあるのは下記の2つの日本企業の独特の文化である。

(1)高付加価値にすれば、コストパフォーマンスは上がり、
ユーザーは価値に基づいた価格を払ってくれる。
企業が想定している「ユーザー」は常に今の機能や仕様に不満を持っており、
まだまだ改善の余地がある。
マーケティングに「足し算」はあっても「引き算」はない。

(2)日本人の高い給与を払うには、高付加価値の製品を作るしかない。
誰でも作れる安価なPCは収益が少なく、
日本人の給与を十分に払えない。

これらの独特の文化や価値観は世界ではガラパゴス(進化を忘れた孤島)
といわれ、特にIT業界に多い。
それを今回はASUSという台湾メーカーによって破壊され、
日本メーカーは、これまで守り続けていた
空虚なブランドで売っていかなければならない。
方や25万円のノートPCとどうやって5万円のノートPCを売り分けるのか

そこに20万円の差額を出す「理想のユーザー」は存在するのか?

本当に日本人だけで開発し、世界を知らずして
今後のさらに激化する競争にどうやって対応するのか?

最も遅く参入し、仕方なく参入した富士通とシャープは
日本PC産業の自壊の象徴である。

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改正産業再生法:日立とパイオニアは潰れてははいけないのか?

Posted on 2009-4-22 by admin under Economics, Japan, Politics, enterprize.

今日、国会で改正産業再生法が可決された。
国が民間企業の、特に大企業に対して特例的に資本出資し、
経営難の局面を打開する手助けをすると言うことである。

産業再生法は正しくは「産業活力再生特別措置法」といい、
バブル崩壊後の経済的苦境を脱するための、政府による民間介入の措置手段である。
これまでにはダイエー、カネボウ、など
大手企業も含めて4000社以上が対象となっているようである。
今回はこれに加えて日立とパイオニアが対象になるというニュースが流れている。

一般的に言って、二つの大きな論理(意見)によって
この手の措置は相反する意見に集約される。

(1)大企業が潰れるとそれに伴う、銀行や中小企業など
これまでの取引関係に連鎖倒産が起こり、
大規模な経済的停滞につながりかねない。
また、企業倒産は多くの雇用を失うことから、
放っておくことにより社会全体に対する経済的影響が甚大になる。
国による一時的な資金供給でその企業が倒産を免れ円滑な経済運営が
その後も続けば社会に負の影響を少なくすることが出来る。

(2)大手だろうが中小だろうが、経営に失敗した際に
経営者とその債権者および株主が、損失を被ったり、
あるいは断罪されることは、社会に正当な新陳代謝をもたらし、
人類や経済における進化を遂げる。
古い体質や経営的に低レベルの企業は淘汰されてしかるべきであるし、
そうならなければゾンビ企業によって社会の大切な資源
(人材、資本、資産、ノウハウ)が有効に活用されないという意味で
社会全体の長期的衰退を招く。
それ以前に政府の介入は市場競争に勝ったものに対する
報酬を減少させるという意味で、不当介入である。

私の意見は当然のことながら(2)である。
社会において正当な新陳代謝はしかるべき措置である。

市場で淘汰された企業が堂々と政府の援助をもらって生き延びることを
資本市場や労働市場、あるいは国際社会における
自由競争、市場原理はどのように評価するのか?

またこのようなことが堂々とまかり通るということが
これから起業しようとする人々や、
正当に競争して競合を打ち負かそうとしている企業の
モチベーションやインセンティブにおけるマイナス要素を考慮したとき、
日本の長期的な衰退を加速するだけであるということを
政治家は誰もわからないのだろうか?

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日本経済への処方箋

Posted on 2009-2-17 by admin under Asia, Economics, International, Japan, Politics. Tags: , , , ,

円高を享受するための制度設計

日本が長期衰退の道に陥らないための処方箋を書く。

輸出型モデルとして日本の産業界を引っ張ってきた
製造業が円高と米国の消費不振で苦境にあえいでいる。

対米輸出、中国経由の対米輸出が大幅に減少し、
日本の産業の牽引役が大打撃を受けた。

追い討ちを掛けたのが円高だ。
日本は恒常的経常黒字国(貿易黒字+投資黒字)であったにもかかわらず、
産業界→政界→日銀の「リーダー不在の短期利益追求型政策」
によって、輸出モデルの過保護のために低金利による円安誘導を続けた。

その結果、本来の円の実力を加味しない不均衡な円安水準が続き、
結果的にサブプライムの信用収縮を機に円への大逆流が引き起こされた。

日本の製造業は生産性の面から見ると
漸増しているので、確かに優良産業であった。

しかしそれは、労働固定費を海外(中国を始めとした東南アジア)諸国に
移転させたための結果である。

企業は1997年くらいから大挙して中国に工場を建設していった。
そこには10億人のマーケットの前に並ぶ
「10億人の単純作業労働者」によって魅力ある「世界の工場」となった。

これが日本から「単純労働」という低生産性要素を分離する一方で
「頭脳労働」という高付加価値要素を国内に残すという
一挙両得作戦にでたのであった。

結果は言わずもがな。米国の過剰消費が低コストの中国生産品と
高性能の日本製品をもって製造業の生産性を一気に高める結果となった。

翻って、日本のサービス業の低迷は悲惨な状況である。

日本のサービス業における全要素生産性
(TFP=Total Factor Productivity)は近年顕著な伸びを示していない。

製造業が海外に低付加価値の「切り離し」を出来たのに対して
サービス業は「日本国内で」付加価値の産出を行わなければならないため、
「低付加価値の切り離し」ができない。

他方労働派遣については規制が厳しくなる一方で、
今後も国内の労働力に依存した付加価値産出体制は
大きな変貌を遂げられそうに無い。

麻生首相も言うように、内需拡大を本腰を入れるためには
いくつかの面で制度設計を見直す必要がある。

何より大きな処方箋は「移民の受け入れ」である。
移民は低コストの労働力確保のために必要な人材である。

ましてやこの円高では、日本円で賃金をもらうことの優位性は圧倒的である。
円貨で稼いだ賃金を本国に送金する際には「円売り」を行うわけだから、
本質的には円の実力レートに均衡することになる。

また、外国人を働かせることには副次的なメリットが生じる。
外国人は日本人のようにハイコンテクストな民族ではない。

日本人主体でやっていた業務は全て職務記述書として
内容を明記することが重要になる。

これらは職種と賃金を客観的に表すのに役立ち、
人材の能力と賃金を適切な比例関係にする好機となる。

日本人には「おれは部長が出来る」という
スーパー勘違いの「ノンワーキングリッチ」が多いが、
これらは本質的には、「部長の仕事」がこれまで定義されていなかったという
ことに起因している。

イケイケドンドンの高度成長期は、官僚型で、
命令系統に従うオペレーション重視の人材と、
なでもやる総務型人材が重宝されてきた。
ノンワーキングリッチは高度成長時代の「負の遺産」である。

負の側面ばかり見ずに移民を受け入れろ

移民の受け入れを通じて、
・低付加価値の外部ソーシング
・ローコンテクストを前提とした付加価値生産体制
・ノンワーキングリッチの排除
・魅力ある労働市場
を構築することがこれからの日本のサバイバル術である。

日本の高度なサービスが企業の国際競争力を高め、
ローコンテクストを前提とした付加価値生産体制が
構築できれば、サービス業の海外展開も加速する。

同時に日本は移民増加による住宅市場の安定化や
国内サービスの多様化を通じて少子高齢化の弊害を
少しずつでも緩和しながら成長を享受できるのである。

他方、日本政府としては
移民増加による治安懸念への対応と
大量解雇されるであろう、低付加価値の日本人を
再教育するセイフティネットの構築が求められる。

再教育は一朝一夕には効果が出ないが、
長期的に見て日本の競争力を向上させるには
最も費用対効果の大きいものである。

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起業家はGDPと逆相関の発想をもて

Posted on 2009-1-19 by admin under Asia, Economics, International, Japan, enterprize, venture. Tags: , , , , , ,

日本のGDPをゼロにしてしまえ。
既存産業を破壊するのがIT・オープンの真骨頂

起業家がビジネスモデルを考える際には
2つのアプローチがある。

一つは「現状ビジネスモデルの改善」であり、
もう一つが「現状ビジネスモデルの破壊」である。

「改善」というのは、これまで5000円で売られていたものを
4000円で売ろうとか、3000円にしようというものだ。

あるいはこれまで世の中は70点で満足していたものに、
80点のものや90点のものを提供するということである。

そこには自分の持つノウハウなど、特定の競争優位性(Strong)があり、
時代や社会背景の機会(Opportunity)と相まって、
新しいビジネスモデルになるという考え方だ。

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一方で「現状ビジネスモデルの破壊」という考え方がある。
これは既存産業を駆逐し、
同業がバタバタと倒産するようなビジネスモデルである。

例えばこれまで5000円で売られていたものを
500円にするとか、無料にするとかいうことだ。

あるいはこれまで70点のモノしか世の中に存在しなかったのに、
700点とか1000点のモノが急に現われることである。

そうなると既存商売をしている人はたまらない。
自分の商売の価値が10分の1になってしまう。
あまりの市場の急変に耐え切れず倒産する企業も出てくる。

本来起業家が探求すべきことは、
このような破壊的ビジネスモデルなのである。
これこそが本来語られるべき「イノベーション」である。
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既存ビジネスを破壊するには、
概ねコストパフォーマンスを10倍くらいまで上げる必要がある。

そんなことが出来るのかという疑問があるだろうが、
これを実現する基本解はIT化に他ならない。

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ムーアの法則とグローバル水平分業のお陰で
CPU、HDD、メモリの単価は下落の一途をたどっている。
昨今の景気減速により半導体設備の余剰感は
さらに高まり、設備稼働率は低下する一方である。

そのためコンピューターの性能/価格比は
年率1.5倍で上昇している。
これがITの低コスト化を推し進め、
限界計算費用(1計算あたりのコスト)は実質ゼロ円になっている。

既存のビジネスモデルを破壊するにはこのITの活用が不可欠である。

ビジネスにはバリューチェーンという概念がある。
これは消費者を起点とし、付加価値の連鎖が
販売者、生産者、そこへの供給業者と連鎖していることを
概念的に表した言葉である。

私はこの付加価値の鎖を独自にレイヤーという呼び方をしている。
レイヤーとは「層」という意味である。

付加価値を決めるのはあくまでも消費者であって、
それがどういうサプライチェーンかは消費者にとって関係ない。

例えばiPhoneを買うのに、その中身がどの会社の半導体で作られているかは
購買に影響しない。

話がそれたが、
IT化による破壊的ビジネスモデルを構築するには
このような付加価値のレイヤーを一つずつ分解し
IT化による合理化がどのくらいまで出来るのかを
検討していく作業が必要となる。

IT化のポイントは人的作業であり、
人的作業の付加価値が多く、なおかつ単純計算作業が
多いものが、破壊されるターゲットとなる。

単純計算作業はIT化によって実質ゼロ円で構築できる。
即ちその部分を低コスト化できる有効な手段である。

このようにビジネスレイヤーの分解と、
単純計算作業のIT化で既存ビジネスを破壊していくのだ。

破壊は静かに行われ、ある日雪崩を打って業界を席巻し
既存業者を駆逐する。

こうなれば少なくとも単純計算作業を行っていた人は
早晩不要になり、これまで5000円払っていたものに
500円しか払わなくなるため、
その産業のGDPは10分の1に減少する。

一方で消費者はその余った4500円を他に使えるため、
GDPの減少が生活水準の低下にはつながらない。

不要となった単純計算作業者は
再教育によって付加価値の高い仕事に従事し、
その国に付加価値の高いもののみが残っていく。

これこそが真の産業イノベーションである。

短期的に潰れる企業が増えるとか、
派遣労働者が解雇されるだとか、
雇用が守られなくなるだとか、
近視眼的な産業保護・雇用保護は「長期的に競争力を失うだけである」

GDPと逆相関のことこそが
産業のイノベーションにつながり、
長期的な競争力の源泉となるのである。

起業家は既存産業の破壊を常に考えて欲しい。
日本のGDPをゼロにしてしまえ。

既存産業を破壊するのがIT・オープンの真骨頂なのである。

 

 

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近視眼的円安政策、日本の長期衰退を招くべく、自らの首を絞めた既得権産業→政府→日銀の大罪

Posted on 2009-1-18 by admin under Economics, International, Japan, Politics. Tags: , , , ,

日本の長期衰退を招く、誤った円安誘導
長く続いた円安水準が是正され、
1ドル90円前後のレートが続いている。

これまでの円安水準は日本株式会社の
屋台骨であるトヨタやキヤノンのような
統合型輸出産業への補助金となっていた。

しかし恒久的にモノ作りで経常黒字を積み上げつづける
「日本円」の価値は、本来もっと高い利子率がついてしかるべきであった。

利子率をのせれば長期的にその分だけ貨幣価値は減価し、
しかるべき水準に落ち着く。
それが本来起こるべき自然な円安誘導である。

短期的な円高は、大黒柱であるトヨタやキヤノンの業績を脅かす。
短期的な景気縮小を恐れる政府は日銀に圧力を掛け
歴史上異例のゼロ金利政策に加えて、量的緩和措置を取らせた。

2003年からのストック価格の上昇時に過剰流動性が意識されながらも
政府からの強い圧力のもと日銀は機動的な利上げが出来ず、
円キャリーによる世界バブルの片棒を担いでしまった。
近年の金融自由化、特に為替取引きの自由化は
為替相場の水準のあり方を一変させた。

金利の高い通貨は買われ、それが投機マネーを呼び寄せ
さらに高くなるという循環をもたらす。

日銀が円金利を上げれば、即ち世界中のマネーが日本に押し寄せ
円高を招く。

それにより結果的に日本の輸出型産業は「補助金」が無くなり
海外に進出して空洞化するか、衰退の一途をたどると考えられた。
しかし現実にはここに誤解がある。
海外に移転する産業やレイヤーは組立などの
労働集約型産業のみである。
それは単純労働という付加価値の低いレイヤーであり、
本質的に日本の産業構造にそれが必要なのかという議論が一切ない。

「派遣切り」のニュースが連日報道されているが、
元来これらの職種は長期的に見て日本にとって
必要な産業レイヤーでは無いはずである。

単純労働は本当に国内に必要なのだろうか?
中国の労働者は月給1万2千円で200時間も働いてくれるが、
その労働水準と本質的に競争する意味が日本企業にあるのだろうか?

本来であれば先進国として付加価値の高い事業と
レイヤーに経営資源を集約し、
単純労働や低付加価値の産業・レイヤーは
より低賃金の国々に放出してしかるべきではなかろうか?

そうやって資本の新陳代謝は維持され、
健全でROEの高い産業やレイヤーのみが
日本国内に残っていくのである。
それが先進国の高金利、通貨高によって国力を維持するための
国の産業政策である。
この国には長期的に産業の形態を変えていこうとする
ロードマップが一切ない。

いや、正確に言うと、既得権益が資本の大半を握ってしまっているため
産業界が政界を牛耳り、ひいては産業構造をゆがませて
結果的に自らの首をしめているというのが
正しい認識だろう。
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本来の円の実力を加味しないゆがんだ金融政策によって
円の実効価値は不自然に安い水準が続いた。
これにより産業は国内への投資を継続し、
「本当は大して安くない労働力」を国内に抱え込んだ。

こうして産業は自助努力をせずに
国内に産業を残し、世界への展開を忘れた。

円安に流され、新陳代謝を怠った日本の産業は
失われた10年間の間にさらに傷口を根本修復することを
怠ったのである。

高付加価値産業、高ROE事業、への転換を怠った
日本株式会社は長期的衰退へと向かうことは逃れられない。
産業界→政界→日銀
というリーダー不在の歪んだ政治構造が
日本を長期的衰退に向かわせてしまう。

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