iPhoneアプリ10億DLの衝撃:ケータイの延長線上に無いAppleのマーケティング力とは?

Posted on 2009-4-23 by admin under Economics, IT, International, marketing.

iPhoneアプリが10億ダウンロードを記録しようとしている。

AppleのKeynoteの発表によれば
全世界の80カ国でiPhoneは発売されていて、
累計販売台数は1700万台である。

またiPhoneの電話機能が無い、「iPod Touch」は
全世界で1300万台が売られている。
次世代iPhoneは6月に公開される見込みだ。

iPhoneには電話以外にGoogleマップや、Youtubeの閲覧など
様々な機能を有しているが、最もこのデバイスの魅力を上げているのは
後から追加できるアプリケーションの数々だ。
2008年6月より始まった、AppStoreでは
iPhone/ipodtouch専用のアプリケーションが
ボタン一つでダウンロードでき、即座にインストールされる。

これにより無限に機能を追加して、iPhone/ipodtouchの
機器としての魅力を高めることが出来るのだ。

そしてこのアプリ群はAppleが開発しているのではなく、
そのほとんどを一般企業や一般の開発者が作っているのである。

アプリには無料のものだけではなく、有料のものもある。
有料ソフトの収益の3割はAppleにいくが、7割は開発者に渡る。

最小金額は115円からとなっており、クレジットカードの取引手数料も要らなければ、
ホスティング費用もかからない。さらに収益は週次で支払われる。

ObjectiveーCという特殊な言語と、Macでの開発環境が必要であるが、
プログラマなら世界で3000万人向けに少額決済ができるモデルは
世界に現有するエコシステムの中でも最高峰の魅力を備える。

IT業界のトレンドはエコシステムの構築である。
自社でサービスの全てを用意するにはエネルギーも経営資源も莫大なものが必要になる。

そこでソフトウェアの仕様の一部を公開して、
第三者がアプリケーションの開発に参画できることを目的とするのがエコシステムである。

エコシステムは本来「生態系」という意味だが、
これにより、第三者から思わぬアイデアで、
爆発的なヒットとなるケースもまれではない。

調子づいたアップルは6月のiPhoneOS3.0へのアップデートにより、

  • 課金システムの多様化
  • APIの1000件の追加
  • 周辺機器との通信規格の策定
  • 100の新機能の盛り込み

と余念がない。

iPhoneは既存の携帯ビジネスの延長線上にはない。
パーソナルコンピューティングとテレフォニーの融合だけではなく、
周辺機器を持つことによって、全てのデバイスをコンピューティングするという
「ユビキタス」の社会を実現するための最先端のデバイスとなった。

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ネットブックに群がる企業:富士通・シャープは自壊の道を進むのか?

Posted on 2009-4-23 by admin under Asia, Economics, IT, International, Japan, enterprize, marketing.

5万円前後のミニノートをネットブックという。
台湾のマザーボード最大手のASUSが1昨年に市場を切り開き、
世界中で爆発的に売れた。

ここに来て、昨年にはNEC、東芝が参入、
さらにソニーはやや独自性のある内容で高めのラインナップで参入、
そしてこの夏の製品から、シャープと富士通が参入した。

中小のメーカーであるエプソン、オンキヨー、マウスなどは
すでにこの市場に参入しており、
シャープと富士通は、最も遅い組である。

元来、ノートPCの現代の市場を見事に開拓したのはソニーであった。
それまでの無骨なデザインに決別し、マグネシウム合金を使った
スタイリッシュで軽量のノートPCをVaioという名でリリースし、
「持ち歩きたくなるノートPC」ということで一世を風靡した。

しかしその後、ノートPCにパラダイムシフトは訪れず、
インテルとマイクロソフトが策定する規格に準じて
ひたすら高機能・高付加価値の製品開発をたどることとなった。

その背景にあるのは下記の2つの日本企業の独特の文化である。

(1)高付加価値にすれば、コストパフォーマンスは上がり、
ユーザーは価値に基づいた価格を払ってくれる。
企業が想定している「ユーザー」は常に今の機能や仕様に不満を持っており、
まだまだ改善の余地がある。
マーケティングに「足し算」はあっても「引き算」はない。

(2)日本人の高い給与を払うには、高付加価値の製品を作るしかない。
誰でも作れる安価なPCは収益が少なく、
日本人の給与を十分に払えない。

これらの独特の文化や価値観は世界ではガラパゴス(進化を忘れた孤島)
といわれ、特にIT業界に多い。
それを今回はASUSという台湾メーカーによって破壊され、
日本メーカーは、これまで守り続けていた
空虚なブランドで売っていかなければならない。
方や25万円のノートPCとどうやって5万円のノートPCを売り分けるのか

そこに20万円の差額を出す「理想のユーザー」は存在するのか?

本当に日本人だけで開発し、世界を知らずして
今後のさらに激化する競争にどうやって対応するのか?

最も遅く参入し、仕方なく参入した富士通とシャープは
日本PC産業の自壊の象徴である。

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改正産業再生法:日立とパイオニアは潰れてははいけないのか?

Posted on 2009-4-22 by admin under Economics, Japan, Politics, enterprize.

今日、国会で改正産業再生法が可決された。
国が民間企業の、特に大企業に対して特例的に資本出資し、
経営難の局面を打開する手助けをすると言うことである。

産業再生法は正しくは「産業活力再生特別措置法」といい、
バブル崩壊後の経済的苦境を脱するための、政府による民間介入の措置手段である。
これまでにはダイエー、カネボウ、など
大手企業も含めて4000社以上が対象となっているようである。
今回はこれに加えて日立とパイオニアが対象になるというニュースが流れている。

一般的に言って、二つの大きな論理(意見)によって
この手の措置は相反する意見に集約される。

(1)大企業が潰れるとそれに伴う、銀行や中小企業など
これまでの取引関係に連鎖倒産が起こり、
大規模な経済的停滞につながりかねない。
また、企業倒産は多くの雇用を失うことから、
放っておくことにより社会全体に対する経済的影響が甚大になる。
国による一時的な資金供給でその企業が倒産を免れ円滑な経済運営が
その後も続けば社会に負の影響を少なくすることが出来る。

(2)大手だろうが中小だろうが、経営に失敗した際に
経営者とその債権者および株主が、損失を被ったり、
あるいは断罪されることは、社会に正当な新陳代謝をもたらし、
人類や経済における進化を遂げる。
古い体質や経営的に低レベルの企業は淘汰されてしかるべきであるし、
そうならなければゾンビ企業によって社会の大切な資源
(人材、資本、資産、ノウハウ)が有効に活用されないという意味で
社会全体の長期的衰退を招く。
それ以前に政府の介入は市場競争に勝ったものに対する
報酬を減少させるという意味で、不当介入である。

私の意見は当然のことながら(2)である。
社会において正当な新陳代謝はしかるべき措置である。

市場で淘汰された企業が堂々と政府の援助をもらって生き延びることを
資本市場や労働市場、あるいは国際社会における
自由競争、市場原理はどのように評価するのか?

またこのようなことが堂々とまかり通るということが
これから起業しようとする人々や、
正当に競争して競合を打ち負かそうとしている企業の
モチベーションやインセンティブにおけるマイナス要素を考慮したとき、
日本の長期的な衰退を加速するだけであるということを
政治家は誰もわからないのだろうか?

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エコシステムを構築せよ。全ての産業は外部リソースを活用して成長する。

Posted on 2009-3-18 by admin under Economics, IT, enterprize, venture. Tags: , , , , , ,

エコシステムという概念がある。

エコシステムとは本来、自然界の生態系を表す意味だったが、
昨今では特定の産業や市場において第三者間が利害を一致して協力する体制を意味する。

かつて企業間で競争と同時に協力を行う体制を「co-operation経営」と呼ばれたこともあったが、
今回紹介するエコシステムはもっと奥深いモノである。

世界最大のエコシステムプロジェクトはLinuxである。

LinuxはオープンソースのOSであり、
世界中のウェブサーバーで標準OSとして稼働している。

Linuxはフィンランドのヘルシンキ大学の学生だったリーナストラバース氏によって開発され
その後オープンソースとして普及していった。
オープンソースのOSの登場は世界中の開発者が待ちわびていた事実であり、
そしてそれは世界中の開発者がボランティアとして機能の改善や問題点の修復に参加した。 

いまやオープンソースで提供されていないソフトウェアは皆無に近く、
あらゆる分野のソフトがオープンソース化している。

しかるにこれらはエコシステムという概念で言い表せる。

世界中の開発者はLinuxの普及と機能強化が自分自身の利益と一致するため
自らボランティアになる道を選んだのだ。

このようなエコシステムは高度に水平分業されたIT業界において、
業界内における垂直統合を作る手助けをしている。

それと同時に、大規模なサービス開発は、既に一企業だけで開発するには
リソース不足になると同時に経営的にも大きなリスクを負うことになってしまう。

これを解消するのが、第三者のリソースを活用するエコシステムという概念である。

第三者のリソースを活用することで
多種多様なアプリケーションの開発や、スピーディな事業展開が可能となる。

それに呼応するかのように、世界中の情報交換コストは実質無料に近づき、
特にITの分野やノウハウ分野ではエコシステムの活用がその企業の命運を決めると言っても過言ではない。

いまはエコシステムは企業が存続する上で必須条件となった。

自社で機密を囲い込み、少ないリソースで垂直統合ビジネスを構築するのではなく
情報をオープンに誰でもアクセスできるようにして、
第三者とともに市場の発展を目指す、そんなソサエティと未来がそこにある。

知識資本社会の真の成長エンジンはエコシステムの構築にあるのだ。

 

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知識が時空を超える。情報交換コスト無料の衝撃。

Posted on 2009-2-28 by admin under Economics, IT, International, enterprize, venture. Tags: , , , , ,

情報交換コストの無料化が企業経営の構造を変革する。

100年に一度の危機に隠れて今進行している現実を見よ

世間のニュースは100年に一度の危機の解説に余念が無い。

しかし世間は「危機だ、危機だ」と騒いでいるだけで、
未来像を探そうとはしていない。

そんな思考停止の人々は置いておいて、
未来がどうなるかを考察しよう。

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情報交換コストの無料化が世界を変える。

今現在、世界で進行中の出来事で、
人類の未来に大きなインパクトを与える出来事はなんだろうか?

私はそれは「情報交換コストの無料化」であると思う。

ムーアの法則に代表されるように、
CPU、メモリ、HDDの低価格化が猛烈な勢いで進んでいる。
これらのPC性能の向上は1.8年で2倍になり、
同じ性能ならばコストは1.8年で半分になるのである。

限界計算費用(1計算あたりのコスト)は実質無料になり、
これが「情報交換コスト」を実質無料にしつつある。

情報交換とは、手紙、電話、FAX、など
何らかのメディアを通じた「知識の共有」である。

Aさんが知っている知識を上記メディアを介してBさんに教える。
これが情報交換ということであり、知識の共有ということである。

知識の共有が進むとどうなるかというと、
さらに付加価値の高い知識が生まれる。

日本の歴史に詳しいAさんが
米国の歴史に詳しいBさんと知識の共有をすることで
新しい歴史観が生まれることがある。

このように「知識は代替することなく、補完しあって
その価値を高めていく
」ことが出来るのである。

しかしこれまでは情報交換に大きなコストが掛かっていた。
手紙は1通50円、電話は1分10円、FAXは1通30円といったように
情報の交換には常にコストが掛かっていた」のである。

これらの情報交換のメディアを担っていたのは
行き着く先は人的資源であるが、
近代の急速な機械化によって、
これらの情報交換技術はコンピューターで置き換えられるようになった。

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既存の情報交換手段は駆逐される。

手紙、電話、FAXなどの旧世代メディアは、
電子メール、Skype、テレビ電話など、
多くの新技術としてPC上で展開されていった。

これらの価格が帰結する先はPCの計算コストであり、
それは即ちPC自体のコストに依存する。

そこに爆弾を投下するのがムーアの法則である。

PCが低コスト化すればこれらの技術は年々安くなり、
そして実質無料の時代がやってくる。

いまや家庭内のブロードバンドは先進国では7割の家庭に普及し、
月額4000程度でも通信料は無制限になっている。

情報交換コストが無料になる時代は今すぐそこに来ているのである。

~~~~~~

はたして我々はこれからの時代、情報交換コストの無料化を
どのような形で享受すればいいのだろうか?

情報交換コストの無料化は、時間と空間を解き放ってくれる。
例えばテレビ電話ができれば、空間が関係なくなる。

手紙で時間が掛かっていたものが電子メールに置き換われば
時間が関係なくなる。

これを会社の経費削減と捉えるのは
浅はかな発想であることは言うまでも無い。

21世紀において、人々は時空を越えて
つながることが出来るようになったのだ。

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オープン化で知識を世界中から集めよ。

時空を越えた知は何処に向かうのだろうか。
これは今や世界中の知識労働者の労働形態を
根本的に変えていくインパクトをもたらそうとしている。

これまで付加価値の低い単純労働のパートタイマーは、
3時間だけの労働といったように部分的な労働力の供給も行えた。

しかし、知識労働者はそのような短時間労働は労働力として成立していなかった。
知識労働者はある一定以上の拘束時間をもって
はじめて企業に知識を貢献出来てきたのである。

現実的に言い換えれば一つの企業に「1日あたり8時間」の
勤務ををしていないと労働者としての価値を与えられなかったのである。

しかし、これからの知識労働者は時空を越えることができる。

例えば広域に散らばる専門家たちが
毎日、「帰宅後の1時間」を
他の企業の経営戦略実現のためにあてることが出来る。

~~~~~~~

メール、電話、通信、TV会議、インターネット、データベース、
超低価格で様々なコミュニケーション(=情報交換)が行える環境は
知識労働の時間単位が極小化しても無限に積算できる
インフラストラクチャーとなっている。

小さな知識と戦略の積み重ねが
大きな一つの戦略として統合できるようになったのだ。

これにより優秀な知識労働者は時間と空間に縛られること無く、
世界中の企業の経営改善のために知恵を提供することができるようになった。

他方、世界中の企業は、優秀な知識労働者をリスクを持って高い費用で
直接雇用することなく、「必要な時に、必要なリソースだけ」
レンタルすることが出来るようになったのである。

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ナレッジオンデマンドが世界を変える。

このコンセプトにより、
世界中の「知識労働の生産性」は爆発的に向上し、
「知識の最適資源配分」が急速に広まっていくことだろう。

究極の「ナレッジ・オンデマンド」の実現である。

知識労働者は自分の知識を定量化し、
ネットワーク・コミュニティに参加することが求められていく。

一方の企業側は、企業戦略をオープンにし、
幅広い知識労働者から自社の戦略実現の方策を
公募することが求められる。

これらは人間として、経営者として、企業として、
非常に大きな度量が必要となるが、
これをオープンに実現できる人間こそ、
21世紀において繁栄を築くことが出来る素地なのである。

「情報交換コストの無料化」は、
世界中の知識労働を一変させる爆発力を持っていることを忘れてはいけない。

現に、オープンソースで世界中の開発者が労働力を寄付した
Linuxは世界中のWEBサーバーの標準OSとなった。

同時に開発された、Apache、MySQL、PHPは
WEB世界のアプリケーションの全てを掌握している。

オープンソースで開発されたソフトウェアは
限界計算費用をさらに押し下げるという、
究極の「正のスパイラル」へと突入した。

事実として、知識労働革命はすぐ手元まで来ている。
知識労働は全ての産業の前提を変えてしまおうとしている。

知識労働革命による、
ナレッジオンデマンドは夢物語ではなく現実である。

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日本経済への処方箋

Posted on 2009-2-17 by admin under Asia, Economics, International, Japan, Politics. Tags: , , , ,

円高を享受するための制度設計

日本が長期衰退の道に陥らないための処方箋を書く。

輸出型モデルとして日本の産業界を引っ張ってきた
製造業が円高と米国の消費不振で苦境にあえいでいる。

対米輸出、中国経由の対米輸出が大幅に減少し、
日本の産業の牽引役が大打撃を受けた。

追い討ちを掛けたのが円高だ。
日本は恒常的経常黒字国(貿易黒字+投資黒字)であったにもかかわらず、
産業界→政界→日銀の「リーダー不在の短期利益追求型政策」
によって、輸出モデルの過保護のために低金利による円安誘導を続けた。

その結果、本来の円の実力を加味しない不均衡な円安水準が続き、
結果的にサブプライムの信用収縮を機に円への大逆流が引き起こされた。

日本の製造業は生産性の面から見ると
漸増しているので、確かに優良産業であった。

しかしそれは、労働固定費を海外(中国を始めとした東南アジア)諸国に
移転させたための結果である。

企業は1997年くらいから大挙して中国に工場を建設していった。
そこには10億人のマーケットの前に並ぶ
「10億人の単純作業労働者」によって魅力ある「世界の工場」となった。

これが日本から「単純労働」という低生産性要素を分離する一方で
「頭脳労働」という高付加価値要素を国内に残すという
一挙両得作戦にでたのであった。

結果は言わずもがな。米国の過剰消費が低コストの中国生産品と
高性能の日本製品をもって製造業の生産性を一気に高める結果となった。

翻って、日本のサービス業の低迷は悲惨な状況である。

日本のサービス業における全要素生産性
(TFP=Total Factor Productivity)は近年顕著な伸びを示していない。

製造業が海外に低付加価値の「切り離し」を出来たのに対して
サービス業は「日本国内で」付加価値の産出を行わなければならないため、
「低付加価値の切り離し」ができない。

他方労働派遣については規制が厳しくなる一方で、
今後も国内の労働力に依存した付加価値産出体制は
大きな変貌を遂げられそうに無い。

麻生首相も言うように、内需拡大を本腰を入れるためには
いくつかの面で制度設計を見直す必要がある。

何より大きな処方箋は「移民の受け入れ」である。
移民は低コストの労働力確保のために必要な人材である。

ましてやこの円高では、日本円で賃金をもらうことの優位性は圧倒的である。
円貨で稼いだ賃金を本国に送金する際には「円売り」を行うわけだから、
本質的には円の実力レートに均衡することになる。

また、外国人を働かせることには副次的なメリットが生じる。
外国人は日本人のようにハイコンテクストな民族ではない。

日本人主体でやっていた業務は全て職務記述書として
内容を明記することが重要になる。

これらは職種と賃金を客観的に表すのに役立ち、
人材の能力と賃金を適切な比例関係にする好機となる。

日本人には「おれは部長が出来る」という
スーパー勘違いの「ノンワーキングリッチ」が多いが、
これらは本質的には、「部長の仕事」がこれまで定義されていなかったという
ことに起因している。

イケイケドンドンの高度成長期は、官僚型で、
命令系統に従うオペレーション重視の人材と、
なでもやる総務型人材が重宝されてきた。
ノンワーキングリッチは高度成長時代の「負の遺産」である。

負の側面ばかり見ずに移民を受け入れろ

移民の受け入れを通じて、
・低付加価値の外部ソーシング
・ローコンテクストを前提とした付加価値生産体制
・ノンワーキングリッチの排除
・魅力ある労働市場
を構築することがこれからの日本のサバイバル術である。

日本の高度なサービスが企業の国際競争力を高め、
ローコンテクストを前提とした付加価値生産体制が
構築できれば、サービス業の海外展開も加速する。

同時に日本は移民増加による住宅市場の安定化や
国内サービスの多様化を通じて少子高齢化の弊害を
少しずつでも緩和しながら成長を享受できるのである。

他方、日本政府としては
移民増加による治安懸念への対応と
大量解雇されるであろう、低付加価値の日本人を
再教育するセイフティネットの構築が求められる。

再教育は一朝一夕には効果が出ないが、
長期的に見て日本の競争力を向上させるには
最も費用対効果の大きいものである。

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チリも積もれば山となる。新モデルのP2BはGDPの破壊者か、或いはサブプライムか?

Posted on 2009-2-2 by admin under Economics, IT, venture. Tags: , , , , ,

サラリーマンもスーパーコンピュータを使える時代

本ブログの「変革と潮流」で紹介したように、現在の限界計算費用の低減は
既存ビジネスに投下されるバズーカ砲のようなインパクトを内包している。

ムーアの法則に代表されるように、
PCの性能向上とハードディスクの低価格化には
歯止めが掛かる見通しがない。

超高性能パソコンが10万円という、平均的な先進国の
サラリーマンの月収の半分で手に入るようになった。

さらにインターネットによるネットワークによって
例えばグリッドコンピューティングなら
100万台のPCを簡単に連結させ、
強烈なインパクトをもたらすスーパーコンピューターを
仮想的に作り上げることが出来るようになった。

これらは世界の限界計算費用を実質ゼロ円にするインパクトをもたらす。

ゼロ円の情報交換コスト

計算コストは言い換えるならば情報交換コストだ。
我々は、話す、聞く、電話する、メールする、文書を送る、
など様々なコミュニケーション手段をもっているが、
これらは全て「情報の交換」と言い換えることが出来る。

これまでは電話やテレビ会議、文章の送付などに
コストが掛かっていた。

しかし、多種多様なインターネット経由のサービスで、
これらが実質1情報あたり、
限りなくゼロ円で交換できるようになった。

市民は月額4000円程度の固定通信費を払えば
ほぼ無制限に、これに近い機能を
ゼロ円で手にすることが出来る。

wikipediaが体現する未来予想図

いま、世の中では集合知の活用が急速に進んでいる。

Wikipediaはオンラインの百科事典だが、
全世界で幅広くサービスされており、
集合知によって世界最大の百科事典になっている。

管理する者もボランティアになっており、
「Wikipedia」は単なる運営母体という意志をもたない集団だ。

もし一企業がWikipediaと同等の百科事典を作ろうとしたら
いくらコストがかかるだろうか?

10万語を収録するだけでも
10億円くらい掛かるかもしれない。

つまり、Wikipediaは無償で、広く薄い知識の寄付で
莫大な価値を生み出してしまった。

まさに限界計算費用がゼロになったからできたことである。

さらに、これらは専門家無くして作り上げたことも
忘れてはならない。

Wikipediaは記事を書くのに、専門家に依頼しているのではない。
それを興味をもっている人物に書いてもらうだけである。

鉄道に関する知識をもつのは、鉄道会社の人間ばかりではない。
趣味で鉄道を愛している人も然りである。

こういう人たちを2次専門家と呼ぶ。
本業以外のことでも高度な趣味性によって、
専門家顔負けのことをやっている人も居る。

そのような知識を世界中で集めたら
ものすごい実体経済価値になる可能性がある。

実体経済とオーバーラップするP2B

一方で、Wikipediaの情報は玉石混交である。
中には適切なソースに基づかない情報もある。

同じような話はサブプライムローンを組み込んだ
CDOやCDSと同じだ。

一つ一つにはアブナイのもあるが、
全体を抱き合わせ販売すれば見えにくくなる。

Pear to Business は情報化社会のサブプライムになるのか。
それとも次世代の知識イノベーションを引き起こすのか。

人間の英知が問われている。

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起業家はGDPと逆相関の発想をもて

Posted on 2009-1-19 by admin under Asia, Economics, International, Japan, enterprize, venture. Tags: , , , , , ,

日本のGDPをゼロにしてしまえ。
既存産業を破壊するのがIT・オープンの真骨頂

起業家がビジネスモデルを考える際には
2つのアプローチがある。

一つは「現状ビジネスモデルの改善」であり、
もう一つが「現状ビジネスモデルの破壊」である。

「改善」というのは、これまで5000円で売られていたものを
4000円で売ろうとか、3000円にしようというものだ。

あるいはこれまで世の中は70点で満足していたものに、
80点のものや90点のものを提供するということである。

そこには自分の持つノウハウなど、特定の競争優位性(Strong)があり、
時代や社会背景の機会(Opportunity)と相まって、
新しいビジネスモデルになるという考え方だ。

========

一方で「現状ビジネスモデルの破壊」という考え方がある。
これは既存産業を駆逐し、
同業がバタバタと倒産するようなビジネスモデルである。

例えばこれまで5000円で売られていたものを
500円にするとか、無料にするとかいうことだ。

あるいはこれまで70点のモノしか世の中に存在しなかったのに、
700点とか1000点のモノが急に現われることである。

そうなると既存商売をしている人はたまらない。
自分の商売の価値が10分の1になってしまう。
あまりの市場の急変に耐え切れず倒産する企業も出てくる。

本来起業家が探求すべきことは、
このような破壊的ビジネスモデルなのである。
これこそが本来語られるべき「イノベーション」である。
=========
既存ビジネスを破壊するには、
概ねコストパフォーマンスを10倍くらいまで上げる必要がある。

そんなことが出来るのかという疑問があるだろうが、
これを実現する基本解はIT化に他ならない。

=========
ムーアの法則とグローバル水平分業のお陰で
CPU、HDD、メモリの単価は下落の一途をたどっている。
昨今の景気減速により半導体設備の余剰感は
さらに高まり、設備稼働率は低下する一方である。

そのためコンピューターの性能/価格比は
年率1.5倍で上昇している。
これがITの低コスト化を推し進め、
限界計算費用(1計算あたりのコスト)は実質ゼロ円になっている。

既存のビジネスモデルを破壊するにはこのITの活用が不可欠である。

ビジネスにはバリューチェーンという概念がある。
これは消費者を起点とし、付加価値の連鎖が
販売者、生産者、そこへの供給業者と連鎖していることを
概念的に表した言葉である。

私はこの付加価値の鎖を独自にレイヤーという呼び方をしている。
レイヤーとは「層」という意味である。

付加価値を決めるのはあくまでも消費者であって、
それがどういうサプライチェーンかは消費者にとって関係ない。

例えばiPhoneを買うのに、その中身がどの会社の半導体で作られているかは
購買に影響しない。

話がそれたが、
IT化による破壊的ビジネスモデルを構築するには
このような付加価値のレイヤーを一つずつ分解し
IT化による合理化がどのくらいまで出来るのかを
検討していく作業が必要となる。

IT化のポイントは人的作業であり、
人的作業の付加価値が多く、なおかつ単純計算作業が
多いものが、破壊されるターゲットとなる。

単純計算作業はIT化によって実質ゼロ円で構築できる。
即ちその部分を低コスト化できる有効な手段である。

このようにビジネスレイヤーの分解と、
単純計算作業のIT化で既存ビジネスを破壊していくのだ。

破壊は静かに行われ、ある日雪崩を打って業界を席巻し
既存業者を駆逐する。

こうなれば少なくとも単純計算作業を行っていた人は
早晩不要になり、これまで5000円払っていたものに
500円しか払わなくなるため、
その産業のGDPは10分の1に減少する。

一方で消費者はその余った4500円を他に使えるため、
GDPの減少が生活水準の低下にはつながらない。

不要となった単純計算作業者は
再教育によって付加価値の高い仕事に従事し、
その国に付加価値の高いもののみが残っていく。

これこそが真の産業イノベーションである。

短期的に潰れる企業が増えるとか、
派遣労働者が解雇されるだとか、
雇用が守られなくなるだとか、
近視眼的な産業保護・雇用保護は「長期的に競争力を失うだけである」

GDPと逆相関のことこそが
産業のイノベーションにつながり、
長期的な競争力の源泉となるのである。

起業家は既存産業の破壊を常に考えて欲しい。
日本のGDPをゼロにしてしまえ。

既存産業を破壊するのがIT・オープンの真骨頂なのである。

 

 

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近視眼的円安政策、日本の長期衰退を招くべく、自らの首を絞めた既得権産業→政府→日銀の大罪

Posted on 2009-1-18 by admin under Economics, International, Japan, Politics. Tags: , , , ,

日本の長期衰退を招く、誤った円安誘導
長く続いた円安水準が是正され、
1ドル90円前後のレートが続いている。

これまでの円安水準は日本株式会社の
屋台骨であるトヨタやキヤノンのような
統合型輸出産業への補助金となっていた。

しかし恒久的にモノ作りで経常黒字を積み上げつづける
「日本円」の価値は、本来もっと高い利子率がついてしかるべきであった。

利子率をのせれば長期的にその分だけ貨幣価値は減価し、
しかるべき水準に落ち着く。
それが本来起こるべき自然な円安誘導である。

短期的な円高は、大黒柱であるトヨタやキヤノンの業績を脅かす。
短期的な景気縮小を恐れる政府は日銀に圧力を掛け
歴史上異例のゼロ金利政策に加えて、量的緩和措置を取らせた。

2003年からのストック価格の上昇時に過剰流動性が意識されながらも
政府からの強い圧力のもと日銀は機動的な利上げが出来ず、
円キャリーによる世界バブルの片棒を担いでしまった。
近年の金融自由化、特に為替取引きの自由化は
為替相場の水準のあり方を一変させた。

金利の高い通貨は買われ、それが投機マネーを呼び寄せ
さらに高くなるという循環をもたらす。

日銀が円金利を上げれば、即ち世界中のマネーが日本に押し寄せ
円高を招く。

それにより結果的に日本の輸出型産業は「補助金」が無くなり
海外に進出して空洞化するか、衰退の一途をたどると考えられた。
しかし現実にはここに誤解がある。
海外に移転する産業やレイヤーは組立などの
労働集約型産業のみである。
それは単純労働という付加価値の低いレイヤーであり、
本質的に日本の産業構造にそれが必要なのかという議論が一切ない。

「派遣切り」のニュースが連日報道されているが、
元来これらの職種は長期的に見て日本にとって
必要な産業レイヤーでは無いはずである。

単純労働は本当に国内に必要なのだろうか?
中国の労働者は月給1万2千円で200時間も働いてくれるが、
その労働水準と本質的に競争する意味が日本企業にあるのだろうか?

本来であれば先進国として付加価値の高い事業と
レイヤーに経営資源を集約し、
単純労働や低付加価値の産業・レイヤーは
より低賃金の国々に放出してしかるべきではなかろうか?

そうやって資本の新陳代謝は維持され、
健全でROEの高い産業やレイヤーのみが
日本国内に残っていくのである。
それが先進国の高金利、通貨高によって国力を維持するための
国の産業政策である。
この国には長期的に産業の形態を変えていこうとする
ロードマップが一切ない。

いや、正確に言うと、既得権益が資本の大半を握ってしまっているため
産業界が政界を牛耳り、ひいては産業構造をゆがませて
結果的に自らの首をしめているというのが
正しい認識だろう。
==========
本来の円の実力を加味しないゆがんだ金融政策によって
円の実効価値は不自然に安い水準が続いた。
これにより産業は国内への投資を継続し、
「本当は大して安くない労働力」を国内に抱え込んだ。

こうして産業は自助努力をせずに
国内に産業を残し、世界への展開を忘れた。

円安に流され、新陳代謝を怠った日本の産業は
失われた10年間の間にさらに傷口を根本修復することを
怠ったのである。

高付加価値産業、高ROE事業、への転換を怠った
日本株式会社は長期的衰退へと向かうことは逃れられない。
産業界→政界→日銀
というリーダー不在の歪んだ政治構造が
日本を長期的衰退に向かわせてしまう。

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激増する過剰流動性がバブルとインフレを再び引き起こす。

Posted on 2009-1-18 by admin under Economics, International. Tags: , , ,

過剰流動性が積みあがっている。
昨年9月15日のリーマンショック以降、
世界中の中央銀行が相次いで利下げに踏み切った。

日米欧の3主要中銀は金利を歴史的低水準に引き下げ
火消しに躍起になっている。

一方で各国の産業は一向に回復を見せず、
流動性確保は景気を浮上させるほどの爆発力には至っていない。

産業の不振は企業の淘汰を進める。
企業間で不信の輪が広がると、
事業の拡大よりも貸し倒れリスクの懸念が大きくなり、
信用創造ができなくなる。

これにより経済の血流である金融が目詰まりを起こし
結果的に破綻企業が増えるという悪循環を招く。

これは一企業の行動としては合理的だが、
経済全体としては不合理となる「合成の誤謬」という現象である。

同じ状況は労働と消費の構造にも当てはまる。

企業は賃金や雇用を抑制して生き残りを図るが、
結果的にそれが労働者=消費者への分配も減らし、
ひいては消費意欲減衰によって、自社の売上も落ちるという構図だ。

これも労働と消費の「合成の誤謬」である。

つまるところ中央銀行や政府が目したような
流動性の供給は一時的な連鎖破綻回避と恐慌回避には役立ったが
景気浮揚するほどの信用創造は生み出していないということになる。

マネタリーベースの増加がマネーサプライの
上昇につながっていないということは
信用乗数が激減しているということになる。

果たして激増したマネタリーベースはどこに行くのか?

それはインフレとバブルの再来である。

物価は本来、需要と供給のバランスで決まる。
しかし一度信用創造が回復した世界では
過剰流動性が行き場を失い、相場を支配する。

2003年からの景気拡大局面では、
溢れ出した過剰流動性が
米国の金融技術に隠れて猛威をふるい、
世界中に投資マネーの正循環をばら撒いた。

原油を始めとした商品相場
それが中東諸国とロシアの発展を覚醒させた。
旺盛な資源開発需要に支えられ、オールドエコノミーが
趨勢を取り戻した。

オールドエコノミーの下請けである中国などの新興国は
この特需によって目を覚ました。

需要の増大が世界全域に押し寄せ、
食料不足が深刻になったように見えた。

商品相場の上昇にあてこみ、
資本は商品市場に雪崩を打って押し寄せた。

それがバブルへと帰結した。
高まる商品需要、高まる資源開発、
オールドエコノミーは息を吹き返し、
世界全体の需給ギャップが改善して景気が上向いた。

それと同じ事が再度繰り返されようとしている。

生き馬の目を抜く栄枯盛衰の激しいヘッジファンドは
世界中で組成されている。

羹に懲りて膾を吹くのは一部の人だけ。
過剰供給されたマネーは行き場を失い、
リスクを取って猛獣のように駆け巡る。

何が狙い撃ちされるかわからない。
おそらく2011年、インフレとバブルは再スタートする。

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