Posted on 2008-11-22 by admin under [02] 実践エビデンスマーケティング 01.
話が少しそれたが、自動車修理店の場合どのような対策を持ってこれを解消していけばよいのか。そしてどのようなアプローチで顧客増加へとつなげていけば良いのか。さらにどうやって代替性の観点で顧客を増やしていくべきなのか。
この3つのアプローチは全て一つの法則性で解消できる。それが先に述べたエビデンス=「証拠」である。具体的に先ほどの顧客不安を解消するための証拠を用意すればよいのである。例えば
「この店舗は大丈夫だろうか?」
「料金をぼったくられることは無いのだろうか?」
「信頼できる品質の仕事をしてくれるだろうか?」
という売る側から見れば馬鹿げた質問に対しても第三者の立場で解答することが求められる。いまや情報が信用できない時代である。国産牛肉が外国産であったり、収めたはずの国民年金が未納となっていたりと社会は欺瞞に満ちている。こういう中で顧客が信頼性や情報の出所に必要以上に神経質になるのは仕方の無いことである。それに対して企業は責任を持って解消していかなくてはならないし、それを解消しないままでは企業の永続性に影響が出てしまう。動物としての人間も本質はリスクを嫌うのである。リスクを排除するのは生物の本能であり、これを変えることは出来ない。ならば企業もリスクを排除しようではないか。
例えばチラシにこのような文言を入れてみる。
「○○町で30年の実績、自動車修理なら田中自動車へ」
「安心の料金体系でしっかりお見積もり、初めてのお客様にも親身に相談に乗ります。」
「6ヶ月間の返金保障、修理にご満足いただけない場合は全額保証いたします」
このような文言を入れてみるのである。
すると顧客の立場からすればどうだろうか?この修理店と取引することに大きな不安はなくなるはずである。この修理店の実績や、料金体系、サービスの内容について本質的な不安はだいぶ解消される。取引にリスクがあっては本質的なサービスの内容での他社との勝負は出来ない。しかし取引リスクを低減できればサービスの付加価値で本当の勝負の土台に乗れるのである。
代替性をアピールするのなら、修理の品質を第三者的な立場で記載することが有効である。定量化できないものを定量化して表現するのである。例えば顧客の声を反映させてみる。
「田中自動車で傷ヘコミの修理を依頼したAさん(26歳女性)の声
近くの路上で電柱にこすってしまい、塗装のはがれと傷ヘコミができてしまいました。
近所にあった田中自動車さんで修理をお願いしました。
自動車修理屋さんに入ったのは初めてだったのでどういう対応をされるか不安がありましたが、実際にはスタッフのかたが親身に相談に乗ってくれて、プランも3つ料金とともに提示してくれました。こういう修理って金額の中身がわからなくて入るまで不安があったのですが、頼んでみると気軽にお願いできるんだなってことがわかりました。昨年買った愛車だったので、ちょっと傷がそのままではいやだったのですが、ここで直してよかったです。」
あなたの会社にこんな顧客の声は無いだろうか?これには完全な定量性は無いが、比較定量性がある。定量性がある顧客の声には新しい顧客は敏感に反応する。新しい顧客はリスクの回避を望んでいるからだ。既に同じ事を試した顧客はそのリスクを犯したことになり、その内容を次の顧客に伝えれば自社との取引に関するリスクの低さをアピールする絶好のツールとなる。これは正に証拠であり、この証拠の提示こそが中小企業にとって最大の障壁である自社との取引リスクというファクターを減少させる要因となるのだ。
Posted on 2008-11-20 by admin under [02] 実践エビデンスマーケティング 01.
次に代替性はどうだろうか?この場合は、既に自動車修理店のメリットや、サービス内容、価格体系を知っている客が対象となる。そういう顧客に対して提供できるのは自社の特異性、優位性である。価格以外の訴求点でそのことがアピールできればよいのである。
塗装であれば、塗装の品質は技術者の能力が大きく影響する。板金加工もしかり。このように能力を定量化できないものは差別化しやすいというメリットがあるのだが、現実には定量化できないために差別化した内容を伝えにくいというデメリットもある。差別化した内容を定量化できないのであればそれが顧客に伝わることが少なくなり自ずと価格に目がいくことになる。これが中小企業が陥りやすい価格競争のわなである。
元々中小企業が手がける商売の多くは差別化自体はしやすいのである、しかしその差別化要素自体が「非常に伝えにくい」場合が多く、これが価格競争と収益性低下の一因となっている。
ここからがエビデンスマーケティングの真髄の登場である。エビデンスマーケティングは顧客視点である。顧客がその差別化要素を理解すればいいだけの話である。そこにはエビデンス=証拠が必要なのである。証拠は即ち顧客が理解しやすい状態である。
実例としては、過去の顧客の声が最も影響がおおきい。中小企業が淘汰されやすいのはこの定量化を理解していないからである。中小企業にはブランドが無い。ブランドが無いということは取引に不安を覚えることがあるのである。
「この店舗は大丈夫だろうか?」
「料金をぼったくられることは無いのだろうか?」
「信頼できる品質の仕事をしてくれるだろうか?」
「アフターサービスでは相談に乗ってくれるだろうか?」
「取引がすんだ後も余計な勧誘やセールスがこないだろうか?」
「店舗に入ったらそっけない対応をされるのではないか?」
「親身になってこちらの問題を解決してくれるだろうか?」
「専門知識の無い自分をないがしろにして話をされるのではないか?」
「自分の個人情報を売られるのではなかろうか?」
などなど、
売る側からすれば驚くような内容である。このように商品の本質以外の部分でも顧客は中小企業と取引すること自体に大いなる不安を覚えているケースが多い。これは本章で述べている自動車修理店に限らず、全ての中小企業にいえることである。ましてや実態のわからないネットショッピングとなればなおさらである。自分の街に10年以上前からある商店などであれば大きな心配も要らないかもしれない。あるいは2000円以下の小額の買い物であれば問題ないのかもしれない。しかし数万円の支出であれば上記に挙げたような顧客不安の解消は何よりも優先されるべき重大な課題である。それを解決せずして本質的な顧客獲得と顧客増加はありえない。即ち企業の永続性を脅かしかねない内容なのである。
Posted on 2008-11-20 by admin under [02] 実践エビデンスマーケティング 01.
エビデンスマーケティングで最も効果があるのは、いつどのようなときでもでも企業活動における迷わない自己基準が作れることである。企業が行う事業活動にはその市場の黎明期、成長期、成熟期、衰退期といったステップがある。多くの経営者はその時期やタイミングを見誤り、自社の繁栄や自事業の繁栄が永続的なものであると感じやすいが、実際には市場のライフサイクルにあわせて企業の行動も大きく代わってこなければならない。その点、エビデンスマーケティングは常に顧客の要望の本質を基点とし、顧客を増やすために一体何をすべきかということを追及し続けるものである。そしてこれはマーケティングという企業の一部の活動にとどまらず、企業経営の本質であると共に、企業の永続性を担保するものである。市場や商品、サービスのライフサイクルにかかわらず、原則基準で物事を考えればぶれない経営を長期的に実現できる上に、企業としての必要なリソースの最適化、さらには売上の拡大、利益の伸長など様々な方向性が実現できることになる。
では具体的な実例に移っていこう。
■自動車修理工
街の自動車修理店は地域やユーザーに密着した店舗である場合が多い。その地域の自動車修理店として長い歴史を持っている会社も多いだろう。あるいは特定の車種のユーザーの修理やカスタマイズの駆け込み寺になっている場合もあろう。車検などのサービスを中心に展開している場合もあるかもしれない。いずれにせよ重要な顧客との関連性を大切にし、そのユーザーからのご愛顧で経営を成り立たせているのではなかろうか?
ここにエビデンスマーケティングを導入するとどうなるか。まず、顧客の層を3つに分けてみる。これはこれまでに紹介した、「ニーズ」、「代替性」、「ウォンツ」という3分類だ。この3分類で顧客を想定し、それぞれに最適なアプローチをすれば的確に「顧客を増やす」という行為につなげることができる。
まず「ニーズ」は急ぎの客である。普段自動車修理工に来ることはない、あるいは生まれて一度も自動車修理をしたことが無いという顧客である。ここには認知させ、記憶の片隅に置いておいてもらえればよい。ニーズで買う客はそもそも自動車修理店が何をどこまでどれくらいの価格でサービスしてくれるのかがわからない。自動車修理を頼んだとしても、どういう内容を選択でき、どういうステップで修理し、どういう料金がかかり、どれくらいの期間で自分の自動車が戻ってくるのか。そういう根本的なことを知らない。
例えば板金加工という言葉を聞いても、それが何なのかわからないから頼みたくても中々話が進まない。このように自社の商売形態が受注や請負の場合はサービスの内容と料金体系が明示されていないケースが多い。このようなケースに対しては、顧客はどう感じるだろうか?あるいは自分が顧客だったらどの店舗を選ぶだろうか?そういう観点で考えるのがエビデンスマーケティングの絶対基準である。
たとえば、AIDMAのプロセスにあてはめれあば、認知が重要である。自動車修理工が提供してくれるサービスの内容を認知させておく。普段のチラシや店舗の看板なども侮れない。そこにサービスの内容と価格体系を明確にしておく。あるいは車に貼れるステッカーなどを準備するのもいいだろう。いざというときに助けになるものであれば、潜在顧客はそのステッカーを貼っておいてくれる可能性もある。そしてそういうシチュエーションになれば思い出してくれる可能性は高い。まず自社が存在していること、顧客がどういう状況になったときに助けられるのかを明示しておくこと、そしてそれを忘れてもらわないことが重要である。
さらに高質接触という考え方もある。一度無料でお試しのサービスを提供するのである。例えば洗車無料券を配るなどして、自社のサービスの一番カンタンなものを利用してもらう。そうすることで顧客は自社の存在を頭に入れることが出来、その後のアプローチは格段にやりやすくなるだろう。注意しなくてはいけないのは何でも無料で配ればよいというわけではないということである。無料になれたユーザーはその後も無料を求め続ける。また、市場を壊しかねない。そういうリスクを鑑みて戦略を立てるべきである。あくまでも基本はニーズを持っているユーザーをどれだけつなぎとめて置けるか、彼らの記憶にどれほどの認知を与えておけるかである。