プリウスの「205万円」は、自動車産業のコモディティ化の始まりだと述べた。
家電製品と同じように、年率20%で価格下落をする世界に突入した。
自動車産業で象徴的なのが、インド、タタ自動車が作った、20万円カーの「ナノ」だ。
タタグループはインド最大級の財閥で、タタ自動車はその中核をなす事業である。
この金融危機下でも、インドは一人当りのGDPが新興国の中でも比較的堅調に伸びている。
そのニューリッチ世代に自動車を持たせるという夢をタタ自動車は担った。
このように、新興国は労働賃金において比較優位性を発揮するため、
先進国の自動車作りにも影響を与えることとなる。
これまでトヨタ、ホンダの仲良しクラブでやっていた自動車産業は
このような新興国の車のプレッシャーを感じながら
今後は厳しい開発競争とリストラクチャリングの連続に見舞われることになる。
新興国の勃興は、ソ連と東欧崩壊による、東西冷戦の集結によって
米国による(安定的な)軍事秩序のもと、
自由貿易とマネーの国際移動が早くなったことに由来する。
新興国は外資マネーを経済の成長エンジンにビルトインして、
自国の製造力を覚醒させた。
それが労働賃金の上昇と相まって、自国の内需拡大へとつながっていったのである。
拡大した内需は、莫大な人口と相まって、
飽和した先進国から比べれば魅力的な成長市場である。
それが呼び水となって、経営資源を投入する外資がさらに集まり、
成長への好循環を達成する。
世界は自由貿易のもと、要素価格が均衡するまでの間、先進国は苦しみつづける。
例えば日本は2030年までにおよそ30%ほど労働者の賃金が下がるだろう。
しかしそれは、真に頭で儲ける時代の到来であり、
ボリューム型資本主義から、知識資本主義へと変革していく
重大な歴史の転換点を表しているのである。

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