コモディティになった自動車:
トヨタがプリウスの新型を発表した。
燃費は38km/Lと、世界の量産車で最高水準だ。
しかしニュースリリースにおいて、その性能よりも話題になったのが、
「205万円」という新型プリウスの価格設定である。
全世界の不況と金融収縮でローンが降りず、自動車の販売は激減している。
自動車産業が屋台骨を支えるドイツ、日本などの政府は
自動車購入に補助金を出してなんとか自動車産業が息耐えないように躍起になっている。
トヨタにとって追い討ちをかけたのがホンダが発売した新型ハイブリッドのインサイトだ。
こちらは189万円という値付けでリリースし、2万台近くのバックオーダーを獲得した。
それに慌てたトヨタは現行プリウスを190万円で併売することを決めた。
これは単なる自動車の値下げ合戦というニュースでは終らない。
大衆車がコモディティ化したという時代の潮流の変化と捉えるべきである。
自動車事業は、莫大な初期投資が掛かる、典型的な旧来型産業である。
これらは「ボリューム型資本主義」とよばれ、大量の設備、人員、莫大な広さの工場が必要で、
資本市場(主に株式・社債市場)からの資金調達なくして成り立たない産業である。
いわゆる製造業は全てこのカテゴリーに入る。
これらの産業には、歴史的に見て下記の大波が常に押し寄せる運命となっている。
- 新興国の勃興により、労働生産性が向上し、価格低下が免れない。
- 新興国で技術が漏洩することで、技術面の参入障壁が低くなり、競争がおきやすい。
- 世界的なカネ余りによる長期金利の低下が進み、
事業としての採算性が成り立ちやすくなるから、資金面での参入障壁も低くなる。 - いつかパイの縮小が起こったときに、成長産業から成熟産業に切り替わる。
- 仁義亡き戦いは一度始まったら終らない。
結果的に、製造業は最終的にこのような過当競争になる運命なのである。
そして、過当競争で厳しくなった業界(今回で言えば自動車産業)は
ラスト・マン・スタンディング(最後の一人)になるまで戦いつづける旅に出るのだ。
トヨタとホンダはこれまで上手くやっていたが、これからはその関係は「過去の思い出」として語られるだろう。

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