機能の代替性 ニーズと本質をつかんだ提案
(2)代替性:代替性とは、本質的なニーズを変えずに、その解決策を別の手段で提供すると言うものである。言葉で定義しても難しいので実例を挙げながら話を進める。例えば、冬の寒い日にある人はエアコンの暖房機能で暖を取っていた。この人にとって最も重要なのは自分の身体が温まるということであり、エアコン自体にニーズそのものがあるのではない。暖房機能にこそニーズの本質があるのである。こういう場合、エアコンを欲しいのではないから、暖房を実現する商品やサービスは全て代替性があると言うことになる。
エアコンの代替性となるもの
- 電気カーペット
- オイルヒーター
- ハロゲンヒーター
- 電気ヒーター
- ガスファンヒーター
少し発想を広げることによって代替可能となるもの
- ダウンジャケット
- ちゃんちゃんこ
- ゆたんぽ
- スリッパ
一例を挙げるとこのようになる。
これらの提案については人によっては納得するものもあれば、イマイチピンと来ないものもあったことと思う。
重要なのはここに挙げたことではなく、発想の広げ方とその提案の仕方である。つまり、本質的に直接代替可能な商品はこの世に存在し得ないと言ってよい。例えば似たようなエアコンであっても消費電力も違えば、暖房性能も各社各様である。しかし、顧客が求める本質にはある程度の幅がある。その範囲内に入るのであれば第一次の代替商品として名乗りを上げることが出来る。この際に重要なのは顧客の説得である。顧客は現状のエアコンの暖房機能に満足しているため、その満足を更に挙げる提案をするか、その満足の中に隠れている不満や負の部分をとりぞのく提案をしなくてはいけない。事例としてはエアコンの電気料金の高さを負の材料として提案することが一般的である。
例えばエアコンは部屋全体を暖めるため暖房効率やエネルギー効率が悪い。そこで、スポット的に暖気を供給する装置を代替品として説得し売り込むわけだ。たとえばガスファンヒータは小型モノもであれば指向性が高く、ピンポイントで暖房を供給することが出来る。電気カーペットも、ある一部の部屋で寒さを感じているのであれば有効な提案手段だ。この場合は説得にコストがかかると言う難点がある。あまり一般的ではない商品の場合は短いフレーズでは売ることが難しいため、テレビショッピングや通信販売など、ジックリと読んでくれるメディアでの露出が多いのがうなずける。訪問販売で変なものを売る傾向が強いのもそのためだ。
さらに説得性が増すのは、二次的な代替商品である。エアコンは室内の暖をとりたい場合であるが、移動中の暖をとりたい場合にはダウンジャケットや、あるいは就寝中の暖房であれば湯たんぽも代替商品として上げられる。ここにはマーケティングのセンスが必要になってくる。その人のライフスタイルを想像し、ある切り口で同等機能をミックスして提案するのである。
第一次の代替商品と第二次の代替商品はどちらが売りやすいかと言うことについて述べる。一見、第一次商品のほうが本質ニーズに近く売りやすいように思えるが、実際にはチェンジングコストが大きく売りにくい。顧客は既にエアコンを持っていて、本質機能に満足しているため、使い勝手のわからない商品に切り替えることに対して心理的にも金銭的にも障害が起こりやすいのである。
以上のように、本質ニーズを顧客が既に満たしている場合には代替ニーズを提供することが大事である。
