自動車修理工の場合(3)

Posted on 2008-11-22 by admin under [02] 実践エビデンスマーケティング 01.

話が少しそれたが、自動車修理店の場合どのような対策を持ってこれを解消していけばよいのか。そしてどのようなアプローチで顧客増加へとつなげていけば良いのか。さらにどうやって代替性の観点で顧客を増やしていくべきなのか。

この3つのアプローチは全て一つの法則性で解消できる。それが先に述べたエビデンス=「証拠」である。具体的に先ほどの顧客不安を解消するための証拠を用意すればよいのである。例えば
「この店舗は大丈夫だろうか?」
「料金をぼったくられることは無いのだろうか?」
「信頼できる品質の仕事をしてくれるだろうか?」
という売る側から見れば馬鹿げた質問に対しても第三者の立場で解答することが求められる。いまや情報が信用できない時代である。国産牛肉が外国産であったり、収めたはずの国民年金が未納となっていたりと社会は欺瞞に満ちている。こういう中で顧客が信頼性や情報の出所に必要以上に神経質になるのは仕方の無いことである。それに対して企業は責任を持って解消していかなくてはならないし、それを解消しないままでは企業の永続性に影響が出てしまう。動物としての人間も本質はリスクを嫌うのである。リスクを排除するのは生物の本能であり、これを変えることは出来ない。ならば企業もリスクを排除しようではないか。

例えばチラシにこのような文言を入れてみる。
「○○町で30年の実績、自動車修理なら田中自動車へ」
「安心の料金体系でしっかりお見積もり、初めてのお客様にも親身に相談に乗ります。」
「6ヶ月間の返金保障、修理にご満足いただけない場合は全額保証いたします」
このような文言を入れてみるのである。

すると顧客の立場からすればどうだろうか?この修理店と取引することに大きな不安はなくなるはずである。この修理店の実績や、料金体系、サービスの内容について本質的な不安はだいぶ解消される。取引にリスクがあっては本質的なサービスの内容での他社との勝負は出来ない。しかし取引リスクを低減できればサービスの付加価値で本当の勝負の土台に乗れるのである。

代替性をアピールするのなら、修理の品質を第三者的な立場で記載することが有効である。定量化できないものを定量化して表現するのである。例えば顧客の声を反映させてみる。
「田中自動車で傷ヘコミの修理を依頼したAさん(26歳女性)の声
近くの路上で電柱にこすってしまい、塗装のはがれと傷ヘコミができてしまいました。
近所にあった田中自動車さんで修理をお願いしました。
自動車修理屋さんに入ったのは初めてだったのでどういう対応をされるか不安がありましたが、実際にはスタッフのかたが親身に相談に乗ってくれて、プランも3つ料金とともに提示してくれました。こういう修理って金額の中身がわからなくて入るまで不安があったのですが、頼んでみると気軽にお願いできるんだなってことがわかりました。昨年買った愛車だったので、ちょっと傷がそのままではいやだったのですが、ここで直してよかったです。」

あなたの会社にこんな顧客の声は無いだろうか?これには完全な定量性は無いが、比較定量性がある。定量性がある顧客の声には新しい顧客は敏感に反応する。新しい顧客はリスクの回避を望んでいるからだ。既に同じ事を試した顧客はそのリスクを犯したことになり、その内容を次の顧客に伝えれば自社との取引に関するリスクの低さをアピールする絶好のツールとなる。これは正に証拠であり、この証拠の提示こそが中小企業にとって最大の障壁である自社との取引リスクというファクターを減少させる要因となるのだ。

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エビデンスマーケティング 自動車修理工の場合(2)

Posted on 2008-11-20 by admin under [02] 実践エビデンスマーケティング 01.

次に代替性はどうだろうか?この場合は、既に自動車修理店のメリットや、サービス内容、価格体系を知っている客が対象となる。そういう顧客に対して提供できるのは自社の特異性、優位性である。価格以外の訴求点でそのことがアピールできればよいのである。

塗装であれば、塗装の品質は技術者の能力が大きく影響する。板金加工もしかり。このように能力を定量化できないものは差別化しやすいというメリットがあるのだが、現実には定量化できないために差別化した内容を伝えにくいというデメリットもある。差別化した内容を定量化できないのであればそれが顧客に伝わることが少なくなり自ずと価格に目がいくことになる。これが中小企業が陥りやすい価格競争のわなである。

元々中小企業が手がける商売の多くは差別化自体はしやすいのである、しかしその差別化要素自体が「非常に伝えにくい」場合が多く、これが価格競争と収益性低下の一因となっている。

ここからがエビデンスマーケティングの真髄の登場である。エビデンスマーケティングは顧客視点である。顧客がその差別化要素を理解すればいいだけの話である。そこにはエビデンス=証拠が必要なのである。証拠は即ち顧客が理解しやすい状態である。

実例としては、過去の顧客の声が最も影響がおおきい。中小企業が淘汰されやすいのはこの定量化を理解していないからである。中小企業にはブランドが無い。ブランドが無いということは取引に不安を覚えることがあるのである。
「この店舗は大丈夫だろうか?」
「料金をぼったくられることは無いのだろうか?」
「信頼できる品質の仕事をしてくれるだろうか?」
「アフターサービスでは相談に乗ってくれるだろうか?」
「取引がすんだ後も余計な勧誘やセールスがこないだろうか?」
「店舗に入ったらそっけない対応をされるのではないか?」
「親身になってこちらの問題を解決してくれるだろうか?」
「専門知識の無い自分をないがしろにして話をされるのではないか?」
「自分の個人情報を売られるのではなかろうか?」
などなど、

売る側からすれば驚くような内容である。このように商品の本質以外の部分でも顧客は中小企業と取引すること自体に大いなる不安を覚えているケースが多い。これは本章で述べている自動車修理店に限らず、全ての中小企業にいえることである。ましてや実態のわからないネットショッピングとなればなおさらである。自分の街に10年以上前からある商店などであれば大きな心配も要らないかもしれない。あるいは2000円以下の小額の買い物であれば問題ないのかもしれない。しかし数万円の支出であれば上記に挙げたような顧客不安の解消は何よりも優先されるべき重大な課題である。それを解決せずして本質的な顧客獲得と顧客増加はありえない。即ち企業の永続性を脅かしかねない内容なのである。

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エビデンスマーケティング 自動車修理工の場合(1)

Posted on 2008-11-20 by admin under [02] 実践エビデンスマーケティング 01.

エビデンスマーケティングで最も効果があるのは、いつどのようなときでもでも企業活動における迷わない自己基準が作れることである。企業が行う事業活動にはその市場の黎明期、成長期、成熟期、衰退期といったステップがある。多くの経営者はその時期やタイミングを見誤り、自社の繁栄や自事業の繁栄が永続的なものであると感じやすいが、実際には市場のライフサイクルにあわせて企業の行動も大きく代わってこなければならない。その点、エビデンスマーケティングは常に顧客の要望の本質を基点とし、顧客を増やすために一体何をすべきかということを追及し続けるものである。そしてこれはマーケティングという企業の一部の活動にとどまらず、企業経営の本質であると共に、企業の永続性を担保するものである。市場や商品、サービスのライフサイクルにかかわらず、原則基準で物事を考えればぶれない経営を長期的に実現できる上に、企業としての必要なリソースの最適化、さらには売上の拡大、利益の伸長など様々な方向性が実現できることになる。

では具体的な実例に移っていこう。

■自動車修理工
街の自動車修理店は地域やユーザーに密着した店舗である場合が多い。その地域の自動車修理店として長い歴史を持っている会社も多いだろう。あるいは特定の車種のユーザーの修理やカスタマイズの駆け込み寺になっている場合もあろう。車検などのサービスを中心に展開している場合もあるかもしれない。いずれにせよ重要な顧客との関連性を大切にし、そのユーザーからのご愛顧で経営を成り立たせているのではなかろうか?

ここにエビデンスマーケティングを導入するとどうなるか。まず、顧客の層を3つに分けてみる。これはこれまでに紹介した、「ニーズ」、「代替性」、「ウォンツ」という3分類だ。この3分類で顧客を想定し、それぞれに最適なアプローチをすれば的確に「顧客を増やす」という行為につなげることができる。

まず「ニーズ」は急ぎの客である。普段自動車修理工に来ることはない、あるいは生まれて一度も自動車修理をしたことが無いという顧客である。ここには認知させ、記憶の片隅に置いておいてもらえればよい。ニーズで買う客はそもそも自動車修理店が何をどこまでどれくらいの価格でサービスしてくれるのかがわからない。自動車修理を頼んだとしても、どういう内容を選択でき、どういうステップで修理し、どういう料金がかかり、どれくらいの期間で自分の自動車が戻ってくるのか。そういう根本的なことを知らない。

例えば板金加工という言葉を聞いても、それが何なのかわからないから頼みたくても中々話が進まない。このように自社の商売形態が受注や請負の場合はサービスの内容と料金体系が明示されていないケースが多い。このようなケースに対しては、顧客はどう感じるだろうか?あるいは自分が顧客だったらどの店舗を選ぶだろうか?そういう観点で考えるのがエビデンスマーケティングの絶対基準である。

たとえば、AIDMAのプロセスにあてはめれあば、認知が重要である。自動車修理工が提供してくれるサービスの内容を認知させておく。普段のチラシや店舗の看板なども侮れない。そこにサービスの内容と価格体系を明確にしておく。あるいは車に貼れるステッカーなどを準備するのもいいだろう。いざというときに助けになるものであれば、潜在顧客はそのステッカーを貼っておいてくれる可能性もある。そしてそういうシチュエーションになれば思い出してくれる可能性は高い。まず自社が存在していること、顧客がどういう状況になったときに助けられるのかを明示しておくこと、そしてそれを忘れてもらわないことが重要である。

さらに高質接触という考え方もある。一度無料でお試しのサービスを提供するのである。例えば洗車無料券を配るなどして、自社のサービスの一番カンタンなものを利用してもらう。そうすることで顧客は自社の存在を頭に入れることが出来、その後のアプローチは格段にやりやすくなるだろう。注意しなくてはいけないのは何でも無料で配ればよいというわけではないということである。無料になれたユーザーはその後も無料を求め続ける。また、市場を壊しかねない。そういうリスクを鑑みて戦略を立てるべきである。あくまでも基本はニーズを持っているユーザーをどれだけつなぎとめて置けるか、彼らの記憶にどれほどの認知を与えておけるかである。

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理論から実践へ マーケティングの基本と考え方|シンプルな絶対基準の追求

Posted on 2008-11-18 by admin under [01] マーケティングとは.

理論めいたことばかり並べても現実味に乏しいマーケティングと思われるなので、さまざまな業種の中小企業クラスのマーケティングに当てはめてこの考え方を適用してみる。

重ねて言うが、重要なのは想定する顧客ターゲットを1パターンにとどめないことである。一般のマーケティングでは顧客像を絞り込みそこを照準として営業活動を集中することが言われているが、現実にそのように顧客増を絞りすぎることはリスクを大きくするだけである。また、つたない発想でマーケティングを行えば既存の業界路線の踏襲にしかならならないことが関の山だ。それでは自社だけが独走し、業界地図を塗り替えるような戦略は生み出せない。そうならないためにも複数の角度から自分の事業を見直し、複数の顧客層を想定し、複数の戦略とたてて事業に望むことはGoing-concernの観点からも重要なことである。

本稿では自動車修理、居酒屋、花や、床屋、携帯ショップ、ファーストフード、喫茶店、観光地の土産製造業、民宿、といった業種を例に挙げながらマーケティングの考え方を実践していく。これらは普通、5~30人程度の規模の中小企業であると考えられるが、もちろんそれ以上の企業であれば同じ話しが適用できる。同時にこれらの企業は一般的に地域に根ざし、差別化や大きな規模になることが難しいとされる業態である。これらが十分に利益を確保し生き残れるとすれば日本の中小企業は安定的な地位を確保し、労働市場のボラティリティを確保して経済の拡大に寄与することが出来る。

さらに士業と呼ばれる、専門性の高い個人事業や、その他SOHOでやっている個人事業主のマーケティングについては後半で紹介する。ここでは、私も属している中小企業診断士のほかに、社労士(社会保険労務士)、行政書士、経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーなどといった、これと言った独占業務が無いような類の士業についてマーケティングを行ってみる。

これまでの基本に基づいて、様々な業種、ジャンルのマーケティングを行っていきたい。読者の中にもこの業種に携わる方々は多いことだろう。無論マーケティングの答えは業種を絞ったところで一つではない。あくまでも頭の体操である。幅広い状況分析から的確な複数の仮説を出すだけの話である。仮説に基づいて行動し、あっていればさらに改善し、間違っていれば修正をしていくのである。そこに必要なのは突飛な発想ではなく一般消費者の常識である。一般消費者の常識を持っていれば自ずから誤った道には入らない。どんなヒット商品もまぐれで生み出されてはいけない。世の中ではヒット商品のみにスポットライトが当り、並外れた頭脳の持ち主が奇跡のように生み出した実例が書いてある。しかし現実には奇跡だけで優れた成果を出した企業は次に続かない。ヒットでも3本打てば得点が入る。そういうマーケティングを行える企業になって欲しい。経営者、あるいは生みの親の過度な思い込みと、修正されない仮説によって事業が立ち直れないほどにダメージを受けてしまうことも多い。そうならないためにも普遍的でシンプルな考え方を習得しておくことは重要である。いつまでも自分、自社の絶対基準を持っていればおのずと正しい道は開ける。

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ニーズ、代替性、ウォンツへの着目~実際のビジネスでの事例

Posted on 2008-11-13 by admin under [01] マーケティングとは.

ニーズ
代替性
ウォンツ

に着目して、それぞれの売り方の基本を書いた。

ではこれらをどうポジション付けて事業戦略に活かしていくか
実際の事例を見ながら確認していこう。

どうしようもない商品をいかに売るか?
がポイントである。

どうしようもない商品をマーケティングだけで売ることが出来たら、
大きな収獲である。

例えばホームページ制作をしている個人事業主がいたら
このサービスをどうやって売っていくだろうか?

売るということは、言い換えれば顧客を探すということである。

まず、ニーズ、代替性、ウォンツの3つの観点から
自分のHP制作サービスのポイントを絞っていく。

何より重要なのは常識である。
・その業界にどういうプレイヤーがいるのか。
・すでに世の中に提供されているものは何なのか。
・それらの価格水準はどうなのか?
などの情報だ。

顧客を探すにはどうすると良いだろうか?

ニーズ、代替性、ウォンツに照らし合わせるとこうなる。

ニーズ:まだHPを持っていない、あるいは切替の必要性がある客
代替性:既にHPを持っているが、維持費を安くしたい、
あるいは競合他社の優れたHPにヤキモキしている客
ウォンツ:今のHPでとりあえず満足しているが、なんかもう一歩欲しいと思って
いる客

そしてそれぞれの想定客に対して、自社の特徴を当てはめていく。
このとき、価格だけを売りにしてはいけない。
価格以外の訴求点がないと、競合の値下げにあって
価格競争になるだけだからだ。

ニーズ:
まだHPを持っていない客に対しては、
自社の作例と実績を見せていくだけだ。

また、すぐにでも欲しいという可能性があるので、
暫定でもHPを2日以内に制作するなどして、
即時性をアピールする必要がある。

また、ホームページが無いことの経営上の
リスクをPRすることを忘れてはいけない。
そして何よりもそのような客を探す(見つけ出す)ほうが重要である。

代替性:
既にHPを持っている想定客に対しては、
自社の優位性をアピールする必要がある。

そして現状の不満の本質は何なのかを理解する必要がある。
自分で更新できない、アクセス数が伸びない、
客導線がメチャクチャだ、検索で上位に来ない、
デザインがイマイチ、サポートが悪い、
HPをどうしていいか分からない、、、
などの欲求があったとすると、

例えば、簡単に更新できること、よりアクセスが伸びること、
客導線がしっかりしていること、検索で上位にきやすいこと、
デザインが優れていること、サポートがしっかりしていること、
ホームページの方向性提案などが挙げられる。

これらの提案で受け入れられたものに対してPRをしていく方法がいいだろう。

例えばCMSで簡単に更新できることを特徴として打ち出す。
SEOに強い設計にしてアクセス数を伸ばせることを打ち出す。
検索連動広告の支援もしてサポート力が高いことを打ち出す。
など、一つホームページを売るにしてもその切り口は様々なものが考えられる。
キャッチフレーズには「これまでよりも、、、」が重要である。
無論その効果を定量的に提示できることに越したことはない。
定量がムリなら、視覚的に明示することだ。
人間というものは、見えないものは信じない。

継続接触という方法も有効である。
既にHPを持っているが、当面切り替える予定がないような客の場合は、
継続的に自社の情報を提供しておき、記憶にとどめてもらう作戦である。

ウォンツ:
さて、ニーズも代替性もない顧客に売るのがウォンツである。
ウォンツは二次機能への着眼である。
ホームページの二次機能とは何なのか。
先ほどの代替性とほぼ同じ事が言えるかもしれない。
問題は、その必要性を客が認識していないことだ。
まさか自分のHPのデザインが悪いとは思っていない。
あるいは自社のHPがアクセス数が少ないとは思っていない。
客導線が悪いとか、配色が悪いとかそういうことを思ったことがない。
そこで有効なのが、2ステップマーケティングである。
例えば、既存のHPを診断してあげる。そうすることで客は問題点に気づく。
あるいは新しいものが欲しいと感じる。
これにより、代替性やニーズのほうにシフトしていき売りやすくなるのである。

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ウォンツ 二次機能に着目した訴求ポイント

Posted on 2008-11-12 by admin under [01] マーケティングとは.

(3)ウォンツ
商品の本質や必要性に着目した「ニーズ」、そして、既存バリューの代替性に着目した売り方、3番目に紹介するのは、機能の本質以外の訴求点に着目した「ウォンツ」である。

ウォンツは欲求と訳すことも出来る。物事の本質ではなく、付随した機能に対しての欲求を総称して言う。商品や物事には、一次機能と二次機能と呼ばれるものがある。一次機能とは、その物事の存在に関わる本質的なものであり、二次機能とはその本質機能とは別のものである。例えば腕時計であれば時間を刻むことの正確さは一次機能であるが、時計全体のデザインや宝飾は二次機能である。エアコンであれば、冷気や暖気を出せることで室温を調整する機能は一次機能であるが、自動クリーニング機構や、省エネであることなどは二次機能である。このように、一次機能とは言い換えると「それが無ければその名は名乗れない機能」を言う。

・一次機能・・・その機能が無ければその名を名乗れない機能(性能)
・二次機能・・・本質的ではなく補助的な機能(デザイン・付加機能)

ご察しのとおり、ウォンツとはこの二次機能に焦点を当てた購買活動である。
無論、一次機能と二次機能というのは概念的なわけ方であり、顧客によって同じ事でも一次機能にも二次機能にもなりうる。外見に気を配る人なら、洋服の機能性以上にデザインが重要である。時間が正確でなくても腕時計にはまずファッショナブルなものを望む人もいる。必ずしもデザインが二次機能というわけではないことを注意していただきたい。何が一次機能で何が二次機能なのかは、顧客によって異なる。問題は顧客がその機能を必要と感じているのか、余分と感じているのかを考えるプロセスが社内にあるかどうかである。対象とする顧客が腕時計のデザインを購買の意思決定における重要な要素と考えているのであれば、デザインを一次機能として定義し、(1)で記したニーズとして売らなければいけない。一方で対象とする顧客がデザインを二次機能にしているのであればウォンツとして売ることが適切だ。

ウォンツで売るということは、顧客の立場からすればウォンツで買うということである。つまり、本質的な機能では差を見出せないので、ならばデザインのいいほうを買おうかとか、付加機能の多いほうを買おうかとかいう選択をすることになる。当然のことながらこれには一次機能が既に満たされていることが大切である。一次機能が満たされていない状態でウォンツだけを提案しても顧客からは片手落ちと判断される。最低限の一次機能無しにして二次機能の提案はありえないのである。

ウォンツで売る場合は顧客がその二次機能の価値に気づいていない場合が多い。自転車を単なる移動手段として考えている人にとってデザインは購買行動につながらない。しかしその顧客にデザインの重要性を気づかせ、デザインがある自転車がどれほど素晴らしいのかを明確に示すことが出来れば、顧客にとってはそれがウォンツとなり、人によっては一次機能まで昇格するのである。

二次機能の特徴としては、差別化が簡単であるということが言える。特に成熟市場においては二次機能がもたらす購買行動は大きなものになる。携帯電話は十分に普及しているが、各社ともデザインに趣向を凝らした製品を開発している。マンションは供給過多が続いているが、バリアフリー対応だとか、オール電化だとか、付加機能を多く付けて販売をてこ入れしている。これらは人によっては必要の無いものであるが、特定の顧客にとっては琴線に触れるものである。提案によってそれが一次機能になり、あるいは二次機能が購買の意思決定要因へと昇格されるのである。

以上のように、ウォンツを見直すことで一次機能と二次機能の融合を行い、顧客の購買意欲をコントロールすることが出来るようになる。

まとめると、ウォンツのポイントは下記のようになる。

・ウォンツは二次機能を提案する。
・二次機能は差別化しやすい。
・二次機能が提案によって一次機能に昇格する。
・一次機能と二次機能の定義は顧客によって異なる。
・顧客視点で定義を常に見直している活動が重要である。

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機能の代替性 ニーズと本質をつかんだ提案

Posted on 2008-11-9 by admin under 未分類.

(2)代替性:代替性とは、本質的なニーズを変えずに、その解決策を別の手段で提供すると言うものである。言葉で定義しても難しいので実例を挙げながら話を進める。例えば、冬の寒い日にある人はエアコンの暖房機能で暖を取っていた。この人にとって最も重要なのは自分の身体が温まるということであり、エアコン自体にニーズそのものがあるのではない。暖房機能にこそニーズの本質があるのである。こういう場合、エアコンを欲しいのではないから、暖房を実現する商品やサービスは全て代替性があると言うことになる。

エアコンの代替性となるもの

  • 電気カーペット
  • オイルヒーター
  • ハロゲンヒーター
  • 電気ヒーター
  • ガスファンヒーター

少し発想を広げることによって代替可能となるもの

  • ダウンジャケット
  • ちゃんちゃんこ
  • ゆたんぽ
  • スリッパ

一例を挙げるとこのようになる。

これらの提案については人によっては納得するものもあれば、イマイチピンと来ないものもあったことと思う。

重要なのはここに挙げたことではなく、発想の広げ方とその提案の仕方である。つまり、本質的に直接代替可能な商品はこの世に存在し得ないと言ってよい。例えば似たようなエアコンであっても消費電力も違えば、暖房性能も各社各様である。しかし、顧客が求める本質にはある程度の幅がある。その範囲内に入るのであれば第一次の代替商品として名乗りを上げることが出来る。この際に重要なのは顧客の説得である。顧客は現状のエアコンの暖房機能に満足しているため、その満足を更に挙げる提案をするか、その満足の中に隠れている不満や負の部分をとりぞのく提案をしなくてはいけない。事例としてはエアコンの電気料金の高さを負の材料として提案することが一般的である。

例えばエアコンは部屋全体を暖めるため暖房効率やエネルギー効率が悪い。そこで、スポット的に暖気を供給する装置を代替品として説得し売り込むわけだ。たとえばガスファンヒータは小型モノもであれば指向性が高く、ピンポイントで暖房を供給することが出来る。電気カーペットも、ある一部の部屋で寒さを感じているのであれば有効な提案手段だ。この場合は説得にコストがかかると言う難点がある。あまり一般的ではない商品の場合は短いフレーズでは売ることが難しいため、テレビショッピングや通信販売など、ジックリと読んでくれるメディアでの露出が多いのがうなずける。訪問販売で変なものを売る傾向が強いのもそのためだ。

さらに説得性が増すのは、二次的な代替商品である。エアコンは室内の暖をとりたい場合であるが、移動中の暖をとりたい場合にはダウンジャケットや、あるいは就寝中の暖房であれば湯たんぽも代替商品として上げられる。ここにはマーケティングのセンスが必要になってくる。その人のライフスタイルを想像し、ある切り口で同等機能をミックスして提案するのである。

第一次の代替商品と第二次の代替商品はどちらが売りやすいかと言うことについて述べる。一見、第一次商品のほうが本質ニーズに近く売りやすいように思えるが、実際にはチェンジングコストが大きく売りにくい。顧客は既にエアコンを持っていて、本質機能に満足しているため、使い勝手のわからない商品に切り替えることに対して心理的にも金銭的にも障害が起こりやすいのである。

以上のように、本質ニーズを顧客が既に満たしている場合には代替ニーズを提供することが大事である。

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顧客が求めるものは何か:ニーズ、ウォンツ、代替手段

Posted on 2008-11-6 by admin under [01] マーケティングとは.

顧客が何を求めているか?顧客が望む本質と、顧客が「その企業」に望む期待という二種類が存在する。顧客が望む本質とは、無論業界によって異なるし、同じ業界であっても規模の大きい企業と規模の小さい企業などによって答えは違う。その企業の特徴、あるいは得意分野などによって求められる顧客ニーズは異なるのである。例えばカシオに求められる時計と、ロレックスに求められる時計は異なる。それは企業のあり方だけではなく、企業の先行きにも大きな影響を及ぼす。これらは答えがどのようなものであるかは百社百様であるものの、答えを導き出すプロセスは全く見当がつかないというものではない。

メリットの無いものにお金は払わない。受益という言葉が表すとおり、益を得るものに人はお金を払ってもいいと感じるのである。そこには通常、原価という考え方はあまり存在しない。例えば、自分が一人で自動車を作るとすると、粗鋼から製鉄し、プレスでボディを打ち、エンジンを載せるなどという工程はとても一人で出来ることではない。もしもそれに果敢にチャレンジするよりかは、200万円で自動車を買ったほうが断然お得だろう。しかし、100%の人がそういう観点でいるのなら自動車はもっと売れてしかるべきである。ところがそのようにはならない。人は自動車がいくらで出来ているかという原価的観点ではなく、それがどのような利得を自分にもたらしてくれるかという観点で価値を判断する。

例えば自動車は移動の手段になる。そこで、自分が移動する際にこれまで徒歩、自転車、バス、電車、などと比較して自動車が移動の手段として自分にとって有効なものであればその受益に対してお金を払ってもいいと感じる。あるいは人によっては、高級車を乗って、自分のお金持ち度をアピールしたいという人もいるだろう。自分へのご褒美と思う人もいるかもしれない。はたまた、身体の具合や地域の交通インフラ事情によりやむを得ず自動車を買わなければいけないという人もいるだろう。このように自動車を一つ買うとなっても実際には顧客によってどういう要望の本質があるかは十人十色である。

一つの業種の一つの企業、一つの商品をとっても、それを買う人のニーズの所在、本質というのは様々なのである。そういう中で企業はどのように顧客ニーズの本質を捉えていったらよいのだろうか。先ほどの文章を紐解いていくとその答えがおのずと見えてくる。

先ほどの文章で顧客が自動車に望むものの一例をあげると、
・移動手段の変更→代替手段としての価値
・自分へのご褒美→保有物としての価値(バリューの向上)
・やむを得ず買う→必要物としての価値(バリューの維持)

このように根本的なニーズというのは
(1)必要最低限のもの
(2)代替手段
(3)プレミアム

という3つに分けることが出来る。

ニーズという言葉は「必要」という意味である。

(1)の必要最低限のものというのは、それを買わないと生活水準や現状維持に著しい影響を与えるというものである。例えばインフルエンザの予防注射を打ちたいという人はいないが、万が一自分がインフルエンザに掛かった時には健康を損なうため、必要に迫られて打ちに行く。怪我や病気になって病院に行くのも同じである。それ以上悪化すれば生活や生命に影響を及ぼすため行くのである。保険などの商品もそうである。万が一に備えて保険を買っておかなければいけない。受験生にとっては学習塾も必要なものである。ネガティブなものばかりではない。旅行に行くにはカメラを買わなくてはいけない。在宅ワークをするならば電話とパソコンは必要だ。新しい家に住む人にとってダイニングテーブルと椅子が無くては生活にならない。勿論感じ方によってこれらが必ずしもネガティブな購買になるとは限らない。進んでカメラを買う人や、自己研鑽のために学校や塾に行く人もいる。ダイニングテーブルを選ぶのが楽しみで仕方ない人も多い。ここで紹介した「ニーズ」というのは本質的な欲求であるため、顧客はそこに適当な商品があれば買う可能性が高い。また同時にタイミングが重要でもある。インフルエンザの予防接種は10~11月頃に受けなければ意味がない。春になってからでは遅すぎる。学習塾も新年度の4月が始めるには最適である。このように季節商売もニーズ要素が高い傾向にある。ニーズは緊急度と言い換えることも出来る。緊急度の高い顧客は正確な意思決定プロセスを飛ばして成約にいたるケースがある。車を運転している人であれば、普段は計画的に近所の安いガソリンスタンドを使うが、旅行中にガソリンがなくなりかけたら、最寄のガソリンスタンドが多少高くても給油することを選ぶ。ここには日常の購買の意思決定はだいぶ省かれているが、本人は経済合理性よりもガス欠で旅行が中断するリスクを避けるためには仕方ないことと納得する。ガソリンスタンドは適切なタイミングで顧客に提供できないかもしれないが、いずれにせよニーズ商売とはタイミングが重要ということを憶えておいて欲しい。

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