Posted on 2008-10-19 by admin under [00] 序章.
暗い話ばかり書いてしまったが、この本を読んでいる読者たちは、「そんなことはわかっている。いつかウチにもこの大型不況の波は来るに違いない。そのために何か出来ることはないのか。」そうお考えではないだろうか。実は不況でつぶれない企業と言うのは二つの要素を持っている必要がある。それは「現金と信用」である。
言わずもがな、企業が倒産する要素は唯一、「現金不足」である。創業以来の大赤字になっても、減資をしても、手元資金をなんとか工面し、債権者に対して期日どおりの支払いをして入れさえすれば企業は倒産しない。そう、不渡りを出さなければ倒産はしないのである。リーマンブラザーズ、エンロンなど米国にも大型倒産はあったが、世界中どの国の倒産をみても、本質的にはこれ以外の理由はありえない。
この「倒産」を避けるには何よりも「現金と信用」である。現金があれば、不渡りは出さずに済む。信用があれば金融機関からお金を借りて工面することが出来る。信用はそれだけではない。「顧客からの信用」があれば、売上や利益は一定の水準を維持できる。そういう企業には安心して金融機関も融資を出来るのである。
つまり、「現金と信用」が企業に「永続性」を与える唯一無二の解なのである。
全ての企業は理念は別としても、「現金と信用」を損なう商売は避けなければいけないのである。
Posted on 2008-10-19 by admin under [00] 序章.
モノが売れない時代と言われている。
この本を書いている2008年10月は、米国発のサブプライム問題に端を発した金融不安が世界中の株価を下落させ、日経平均は8000円、NYダウも8000ドル台にまで落ち込みいまなお乱高下を続けている。リーマンブラザーズの破綻、米国の住宅公社の国有化、世界はメガトン級の同時不況の様相を呈してきた。昨年までは日本だけがモノが売れない時代であり、日本を除く、米国、EU、アジア、中東、その他新興国の世界経済は30年ぶりの大型好況とまで言われており、先行きに一点の曇りもない状況であった。ところが一転、たちどころに暗雲が立ち込める今の世界経済は密に絡まっており、良くも悪くも複雑に連携しあっている。世界的な株安連鎖は、望むと望まざると世界の一体感を象徴している。株価の下落がもたらす「逆資産効果」で、これから数年間は全世界が同時に大型の不況に到達する可能性が非常に高いのが現状である。
翻って、日本の経済はトヨタ、ホンダ、キヤノン、ソニーなど海外の営業比率の高い企業が主導している経済である。例に挙げたこの4社は既に日本国内の売上・利益よりも海外での売上・利益のほうが高いのである。松下電器産業は10月を持ってパナソニックに正式社名変更を行ったが、現在の海外売上比率は50%である。社名を英語に変更したのはこの比率を更に伸ばすための施策の一つであることを忘れてはいけない。いまや日本企業といっても世界で勝負している企業のほうが売上も、利益も、そして企業価値も、社会からの評価も高いのである。
そういう意味からしても、世界の株安を初めとする逆資産効果は少なくともこのような外需型企業の成長の足かせとなり、外需型企業に成長を依存してきた日本経済はこれまでのデフレ不況以上に大型の不況・苦境に直面することととなる。
世界の成長エンジンはモノづくりによる付加価値創造であり、それは即ち「消費と設備投資」である。消費が上向けば生産能力の向上が必要になり、設備と人が必要になる。賃金の上昇が消費を促進し、設備投資による生産性の向上が物価の安定化を支え、さらなる消費を刺激する。
これまでの消費大国はアメリカであった。EUは母体は大きいが、過剰消費や過剰な設備投資は行う地域ではない。その代わりに中国・インドなどを初めとする高成長の新興国が賃金の上昇と共に世界の消費を引っ張り始めた。米国が苦境に陥り、世界は新興国の消費向上に期待をしたものの、消費の中心的役割をになった富裕層は世界同時株安で米国民と同じように苦境に陥り、消費のインパクトは期待はずれなものになっていった。こうして世界の消費・設備投資の好循環は終止符を打ち、世界同時不況へと移行していくのである。