まずは企業経営の根幹をステップを追ってみていこう。
【企業理念】
企業には永続する所以となる理念が存在する。会社によってはミッションステートメントと表記したり、クレドという表現をしたりする会社もある。その企業が存在することによってどれほど多くの幸福を世界に提供できるのかについて書いた根本的な考え方が企業理念である。これは社会市民として「企業活動のあるべき姿」を提供するものである。当然ながら毒物の入った食品を作ったり、命の危険をさらすような乗り物を作ることは企業としての理念にふさわしくない。社会から信頼をされることが企業存続の条件なのである。
【経営計画】
企業理念を実現するためには概ねの経営計画が存在する。これは企業が主に資本市場から信頼を受けるための道具である。往々にしてこれらは売上・利益を中心とした数値目標や、あるいは事業の領域について述べられたもので、おおよそ3年~10年単位で作成される。企業理念を達成するための施策をどのような事業領域で実現するか、それを明確にするのが経営計画である。1~2年程度の短期的過ぎる計画は現在の延長線で描けるため、実現に至るためのブレークスルーが少なく、経営計画としてはあまり適切ではない。
【経営戦略】
経営計画を実現するための戦略的な行動計画が経営戦略である。よく、経営計画と経営戦略を混同する人が多いが、この2つは上下関係が定まっており、本質的にレベルが異なる。経営計画は上述のとおり、現在の延長線上で描けるものではない。新しい事業の創出や、これまで以上の利益率、あるいはシェア・売上の急拡大など、経営者の思い入れと資本市場からの要求によって形成されるものである。現実に現在の延長線上で描ける経営計画であれば、戦略は必要ない。ところが一般的に経営計画を実現するためにはリソース(経営資源)の不足に直面する。人員が足りない、投下資本が足りない、日程が少ない、あるいは利益率の低下を余儀なくされる、売上高の一時的な減少を余儀なくされる、などである。大きく分けると、本質的に物事が足りないがゆえに二律相反に直面するのである。二律相反を解決するためには「これまで以上に頑張ります」などと寝ぼけたことを言っ
ていては経営計画はタイムアウトしてしまう。そうならないために、経営戦略では、物事に順序を決めるのである。よくある過ちが、シェアと利益の向上を狙う戦略である。これは計画ではありえても、戦略ではありえない。シェアの拡大には販促費の増加や、低価格化路線の採用など、利益率を低下させる要素が満載である。よってシェア向上の際には利益率は落ち込む。一方で利益率を向上させたければ販売価格の上昇や販促費の一時的な減少などでシェアは低下の一途をたどる。このようにシェアと利益率の向上といった二律相反は経営計画のレベルでは解決できない。そこで戦略に落とし込み、最初の2年間は利益重視で、その後シェアをとりに行くという順序付けが行われる。この順序が企業の状態によっては逆になることもある。そのように二律相反を順序によって解消して経営計画を実現するのが戦略の本質である。

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