ここから先は現場レベルに落とし込まれていく。
【経営戦術】
経営戦術とは、実際に戦略を実行する際にその実効性を高めるためのツールである。目の前にある課題を解決するために最も少ないリソースで最も多くの効果を上げる手法を選択することが経営戦術である。こちらも戦略と戦術の混同がよく見受けられる。戦略とはあくまでもアウトライン、ガイドラインであり、実際に現場でそれを実行に移すのは戦術の良し悪しが決め手となる。例えば売上を上げるために販促をするにしても、営業マンの訪問回数を増やすのがいいのか、チラシを撒くのが有効なのかといった手法は、リソース(人・物・カネ)と成果(売上)に直結する命題である。一般的な戦術とは、経営戦略が無くても機能するが戦術の頭に「経営」とつけるからには、経営戦略との整合性が取られていなくてはいけない。例えば支店に落とし込まれた目標を効率よく達成するためには常に戦術に磨きを掛けていることが重要だが、一方でそれが必ずしも全社の経営戦略と整合性を持って策定されているかということに関してはチェック機能がない場合が多い。この戦略と戦術の分離が企業の目標達成度の大きな要諦になる。なぜかというと、ある程度の規模の会社であれば、経営戦略までは経営陣が決めることが多いが、経営戦術となると現場のマネージャーの裁量に掛かってくる。また、経営戦略をよく理解したマネージャーがその戦略を咀嚼して経営戦術を練らないと単なる戦術にしかならず、自己満足の戦術が経営戦略の実現を邪魔することもありうる。よってこの段階では優秀なマネージャーがどれほど居るかがポイントとなり、どの企業でもいわゆる「ミドル層」が業績を左右すると言われる所以である。
【オペレーション】
経営戦術が決まったら今度はそれを現場の作業に落とし込まなければならない。現場に考える能力を期待するかしないかは企業の経営方針によって異なるが、基本的にマネージャーの考えやポリシーが現場との間に乖離がないと考えるならば、現場は作業者に徹したほうが効率がいい。経営戦術を各メンバーに役割として割り振り、実行に対する予実管理を行う。この作業レベルに落とし込むところも、経営戦術の実効性に大きな影響を与えることが多い。これには2つの側面があり、一つはマネージャーと作業者の成果に対する考え方の違いである。マネージャーは一般的に実績に対する成果報酬のため、作業量に対する労働の弾力性は無限大となる。一方で作業者は一日8時間の労働時間やそのオーバータイムに対して時間給をもらっているため、作業量のバラツキに対する労働負荷弾力性や成果給の要素が少ない。そこでその作業量の平準化と、専門作業の確立を行う必要がある。二つ目の問題はこの作業の標準化、及び割り振りのメンバー間の平準化である。これにはマネージャーの現場作業に対する理解や現場メンバーの力量の見積に関するセンスが問われる。一般的に生え抜きのマネージャーならばその作業量の見積が概ね正しくなるが、外様で外の部門から来たマネージャーは現場作業に対して理想論、正論が先行してしまい、標準化・平準化が適切に出来ない可能性がある。作業が常に煩雑であると、作業効率が低下する。例えば図版の制作作業であれば、レイアウト作業を一人の専門家がやるほうが統一感の面でも作業性の面でも望ましい。それを分からないマネージャーが業務を割り振るのは現場にとっては悲劇である。さらに追い討ちを掛けるのが近年のIT化の進展である。IT化により、単純作業は自動化できる余地が多くある。しかしマネージャーのレベルによってはIT化による効率度合いが全く分からないため、膨大な作業量を目の前に、困惑するマネージャーと、そんなの1分で出来ると見積もる若手社員に世代の断絶が見受けられる。

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